ゆずのニューアルバム『図鑑』は「死と再生」がテーマのアルバムだ。そう言うと、シリアスでヘヴィでじっくりとスピーカーの前に向き合って聴くべきコンセプチュアルなアルバムだと思うかもしれない。でも、それは違う。音楽を時にはポケットに入れて、時には何かをしながら、時には頭よりも体を使って聴くぐらいの感じで、何の型にもはまらずに聴くのが相応しい、あなたを音楽で縛らない音楽。ある曲が流れて、その次に違う表情を持つ曲が流れる、それが連鎖してどこかへ私たちを連れていく。そこで「死と再生」のサイクルに揺られながら生きることの美しさに出会う。そこに今のゆずにしか生み出せない新しいポップミュージックがある。そんな確信に向かって、ふたりが脇目もふらずに駆け抜けることができたのが、この『図鑑』なのである。とても軽やかで、清々しくて、だからこそ胸にズッシリ残るこのアルバムに収録された全曲を『図鑑』をめくるように読める本にしてみたい。そう思って作ったのが、この「ゆず SPECIAL BOOK『図鑑』のずかん」。愛とユーモアを込めて楽しい「付録」をふたりと共に作ったので、どうか大切にしてほしい。「これでいいんじゃないか」と「まだ新しいものができるんじゃないか」のせめぎ合いの中で後者を選んだんです
インタビュー=古河晋 撮影=神藤剛
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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