ぴあアリーナMMで彼らが観せたのは、妙な言い方だが、どこまでもサカナクションな、音もビジュアルも破格の完成度をもった、パーフェクトなショウだった。筆者はツアー初日の幕張メッセも観たが、それと比べてもライブとしてのクオリティはぐっと増し、安定していた。それに加えて(これはMCで山口も言っていたが)、初日にあったピリッとした緊張感や激しいエモーション(それはメンバーだけでなく、オーディエンスも同じだった)のかわりに、バンドとして進んでいける喜びや手応えのようなものがステージ上の5人を包み込んでいた。「5人で、チームサカナクションで進んでいきたいと思います。いいときも悪いときも、一緒に楽しんでいきましょう!」。アンコールで山口はそうオーディエンスに語りかけたが、その言葉に込められた決然とした思いは、客席の隅々にまでしっかりと届いたはずだ。
(以下、本誌記事に続く)
文=小川智宏 撮影=後藤武浩
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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