アルバム『Traveler』のときよりも、『Editorial』のときよりも、断然おおらかで笑いの多いアルバムインタビューになった。「感覚で」とか「力が抜けてきた」とか「身を任せるところは任せる」とか「面白いアルバム、ハッピーなアルバムにしよう」みたいな解放的な言葉がメンバーの口からポンポン飛び出して、このアルバムがいかに今のヒゲダンの自然体そのものから生まれた作品であるかがよく伝わってくる。『Editorial』が内面を掘っていくアルバムだったから、次はもう面白い、ハッピーなアルバムにしようっていうみんなの共通認識があった
急激な環境の変化の緊張感の中で作った『Traveler』とも、自分たちの音楽や自分たち自身と向き合いながらその揺れ動きの中で生まれた『Editorial』とも違う、おおらかなポジティブと揺るぎない強さに包まれたアルバム、それが『Rejoice』だということがよく伝わってくる。
本当に、『Rejoice』はそういうアルバムだ。
だが、このアルバムの制作期間が彼らにとってハッピーな時期だったかといえば決してそんなことはない。
ボーカルの藤原聡が声帯ポリープを発症し、バンドは3ヶ月間休むことを余儀なくされた。病気と向き合う苦しみも将来への不安も、それは計り知れないほど大きかったはずだ。
それを乗り越えてこのアルバムは生まれた。
音楽に向き合うポジティブでおおらかな姿勢と、大きな苦難を乗り越えた強さと潔さと、その両方がポップにダイナミックに炸裂するアルバム『Rejoice』。
その誕生の経緯と思いを、4人はすべて語り尽くしてくれた。
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=太田好治
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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