全国を横断した『+1』ツアーを無事終えた木村カエラだが、その勢いはまだまだ留まることを知らない。自身初の両A面シングルとなる「マスタッシュ/memories(original version)」を早速聴いたのだが、これがまた全国ツアーで得たミュージシャンとしての「果実」が凝縮された傑作シングルなのである。
まず1曲目の“マスタッシュ”は、イントロから低音のギター・リフがバキバキ炸裂し、リズム隊の骨太なサウンドが絶妙に絡み合うカエラ色満載の軽快なロック・ナンバー。≪甘い 甘い 恋に落ちてはずむ気持ちは トランス系で≫なんていう歌詞も、この攻撃的なサウンドにのり、おまけにカエラが歌うとなると、ありきたりな「恋愛ソング」とは、当然一線を画す。特に後半のBPMが一気にあがる、畳み掛けるような展開はライブ映えすること間違いなし。ちなみにタイトルの“マスタッシュ”は「口髭」という意味であるが、歌詞とは関係なく、単に「響きがよかったので付けました」とのこと。何ともカエラらしい。
2曲目の“memories”は、映画「パコと魔法の絵本」の主題歌であり、映画のファンタジーな世界観とカエラのポップ・センスが絶妙にマッチングした曲である。≪ピョコ ピョコ≫や≪ニョキ ニョキ≫など、普段のカエラ・ナンバーではなかなか歌われない擬音がとても新鮮で思わずニンマリしてしまうが、「ポップ・アイコン」としての彼女の佇まいが非常によくわかる1曲でもある。またホーンやピアノのサウンドが曲全体に厚みを加え、物語性をより豊穣にしているのもよい。この充実したシングルについて、ロッキング・オン・ジャパン9月号(8月20日発売)では、カエラ本人が大いに語ってくれている。キュートな浴衣姿も披露しているので、こちらも是非お楽しみに。(ロッキング・オン・ジャパン編集部)