シガー・ロスの『()』の夢遊病少年イラストに盗用疑惑

シガー・ロスの『()』の夢遊病少年イラストに盗用疑惑

2002年にシガー・ロスが『()』をリリースした際、バンドは夢遊病の少年が歩いている姿のイラストのステンシル型をプロモーションで配布したが、そもそもアルバムが本来的には『無題』で、さらに収録曲もすべて“無題”だったため、謎が謎を呼び、このイラストが大きな話題となった。しかも、配布された印象的な少年のイラストはCDやアナログ盤の裏ジャケットにもプリントされていたのだが、このイラスト、無断で使用された可能性が高いとここにきて指摘されている。

実はこのイラスト、中国系アメリカ人の写真家ジョン・ヤンが1960年にパリで撮影した写真をそっくりそのままトレーシングしてイラストとして転用したものだということがジャーナリストのジョン・シュメルツァーの調べでわかってきたからだ。特に決定的なのが、この写真がタイム=ライフ社から1984年に出版された『Photographing Children』という写真集にも収録されているということだ。

その後、シュメルツァーはヤンの連絡先を探したところ、かつてギャラクシー500のメンバーであった娘のネイオミ・ヤンに行き当たり、シュメルツァーは自身のブログでネイオミとのやりとりを紹介している。ネイオミの推察では、バンドが写真集『Photographing Children』でこのイメージを探し当てたのはまず間違いないとのこと。

その後、シガー・ロスは写真共有サイトのフリッカーのバンドのページにこの写真とイラストをアップロードし、撮影者がジョン・ヤンであり、版権が保護されている旨も表記しているが、イラストにクレジットがまったく表記されていなかったリリース当初は権利は保護されていなかったとネイオミは指摘している。

「シガー・ロスは使用許可を依頼してこなかったし、この写真の流用について一銭も払っていませんし、ミュージシャンでグラフィック・デザイナーでもあるわたしとしては本当にものすごい強い反感を感じます」とネイオミは憤りを語っている。さらにマネジメントに慰謝料を求めたところ、まるで「門前払いだった」という。

今ではこの少年のイメージはヨーロッパではグラフィティ・アートとしても街中でみかけられるようになっていて、それを見せられたネイオミは「それにしても、このイメージ、ものすごく出回ってるんだなあ」と感嘆したという。

ジョン・ヤンによるオリジナルの夢遊病少年の写真はこちらから→
http://4.bp.blogspot.com/-ijwvCKRqUVY/TibT9vaVcqI/AAAAAAAAGa4/9PRy3WRgxnU/s1600/Blindman%252527s%252BBluff.jpg

今ではストリート・アートにもなっているヤンのイメージはこちらから→
http://photos1.blogger.com/blogger/2499/133/1600/sleepwalk1.jpg
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