パール・ジャムのブッシュ批判歌詞が検閲された!?

8月3日から5日、アメリカのシカゴのグラントパークで開催されたロラパルーザ・フェスティヴァル。今年の最終日、大トリを務めたのがパール・ジャム。ベン・ハーパーや元NBA選手のデニス・ロッドマンらがステージに飛び入りし、またイラク戦争で負傷した兵士をステージに上げ、中近東紛争の終結をオーディエンスに呼びかけたり、とトピックスの多いパフォーマンスとなった。そのライヴの模様が、米大手通信会社のAT&Tによってウェブキャスト(ウェブ上でのストリーミング配信)されたが、その際に一部コメントが削除されており、「意図的な検閲ではないのか?」と話題を呼んでいる。

検閲として問題となっているのは、“Daughter”の演奏時にピンク・フロイドの“アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール”のカヴァーの一部を挿入した際、エディ・ヴェダーが「ジョージ・ブッシュよ、この世界をそっとしておいておくれ。ジョージ・ブッシュよ、自分の居場所を他の場所に移しておくれ」と歌った部分。同箇所はウェブキャストで配信された際に消されていたという。

これに対して、パール・ジャムはバンドの公式サイトで「今回の件は、アーティストとしてはもちろんのこと、一般市民としての立場からも、検閲およびメディアの行き過ぎた規制という大きな問題であると考える。通信メディアが世の中に放映される内容を決める上で、企業が有する権力について、多くの人々が懸念している。今回のAT&Tの対応は、まさにその核心を突いている」との声明を発表。またファンからも、AT&Tの検閲ともとれるこの行為に対する抗議の書き込みが殺到した。

これらの意見に対して、AT&Tは「8月5日夜のパール・ジャムの公演の編集に関してですが、これはウェブキャストベンダー(仲介業者)が犯した重大な過ちであり、当社の方針に全く反するものでした。当社には、極めて過激な口汚い言葉の編集削除に関して適切な方針がありますが、パフォーマンスを編集したり、検閲したりすることは一切ありません。(今回ウェブキャストを配信したサイト)Blue Roomには年齢制限が設けられていないため、ふさわしい特定の編集方針が設けられております」との弁明を公開した。AT&Tによれば、ウェブキャストベンダー、パール・ジャムの三者間で事態の解決に向けた交渉が続けられているという。
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