『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』を観た!

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』を観た!

予想をはるかに超えた、リアルで感動的な人間ドラマだった。中でもカンバーバッチの演技が、破格に素晴らしい。これまでも舞台俳優らしい表情の豊かさはもちろんあったが、段違いだ、これは! トロントで観客賞を受賞し、ゴールデン・グローブ賞では5部門がノミネート、アカデミー賞の有力候補とも言われる本作だが、この演技を観たら主演男優賞は絶対に濃厚だと思う。「あなたが普通と違うから、世界はこんなに素晴らしい」と、孤高の天才を賛美するキーラ・ナイトレイ役の言葉に泣いた。

コンピュータの基礎を発明した天才数学者であり、努力も惜しまず、社会生活には適合できない変わり者で、嫌われ者のヒーロー――という意味ではシャーロックと共通する部分もあるが、アラン・チューリングの人生には重い二重の「秘密」があり、それによって人生が過酷なものになっている。まだゲイが違法だった時代の実話だ。 現在発売中のCUTでは、3月公開の本作を一足先に表紙巻頭で特集している。そして、アラン・チューリングのように差別や偏見と闘ってきたLGBTの歴史を、様々な角度からひもといている。本作に関するカンバーバッチのインタビューは、絶対に読んでほしいテキストだ。彼自身のパブリック・スクール時代やその友人たちの話題もあり、映画に出てくるチューリングの少年時代と少しかぶって見えた。

気になっていたマシュー・グートやマーク・ストロングも、とてもいい。 日本でも早く多くの人に観てほしい。(井上)
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