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    RADWIMPS『君の名は。』のアルバムとしての凄さについて

    RADWIMPS『君の名は。』のアルバムとしての凄さについて

    7月19日発売CUTに掲載した、映画『君の名は。』でのコラボレーションについて新海誠監督と、音楽を担当したRADWIMPSの野田洋次郎が語り合った対談を今、改めて多くの人に読んでもらいたいと思い、このRO69に全文掲載することになりました(http://ro69.jp/news/detail/147938)。
    既に読んでくださった方もいると思いますが、まだの方も是非読んでほしいです。

    雑誌に掲載したときの前置きの文章の最後に「映画『君の名は。』もRADWIMPSのアルバム『君の名は。』も、アニメファンやロックファンと言った垣根を超えてどうか多くの人に届いてほしい」と書いたのですが、映画『君の名は。』は、全国映画動員ランキングで初登場1位を獲得、8月26日、27日、28日の3日間で動員95万9000人、興収12億7000万円と興収10億円を突破。
    そしてRADWIMPSのアルバム『君の名は。』は、発売初週に5.8万枚を売り上げ、今週発表の最新オリコン週間アルバムランキングで初登場1位を獲得。
    iTunesのダウンロードチャートでも“前前前世 (movie ver.)”“なんでもないや (movie ver.)”“スパークル (movie ver.)”“夢灯籠”というアルバム『君の名は。』にも収録されている歌もの4曲が1位~4位を独占し続けるという異例の快挙を達成。
    これはもう作品の力によって多くの人に届きまくっている状況だと言っていいでしょう。
    本当に嬉しい!
    このインタビューからも感じてもられると思うのですが、RADWIMPSの『君の名は。』はアルバムとしてあまりにも特別で奇跡的な作品です。
    そこを少し補足的に書きたいと思います。

    このアルバムを手にした多くの人は、もちろんアルバム全体を楽しみにしつつ、先程も書いたiTunesのダウンロードチャート上位を独占した“前前前世 (movie ver.)”“なんでもないや (movie ver.)”“スパークル (movie ver.)”“夢灯籠”という4曲をRADWIMPSの歌ものとして楽しみにしながら聴いたのではないかと思います。
    そして実際にこの4曲は、楽曲単位で聴いても、どれもRADWIMPSのシングルや代表曲になりうる楽曲です。
    ファンの中には「こんなRADWIMPSの曲を聴きたかったんだ!」という喜びを感じた人もいるのではないでしょうか。
    でも彼らは、まったく自分たちのバンドのシングルや代表曲になりうるような曲を作ろうと思って、これらの4曲を作っていません。
    そこがこのアルバムの凄いところです。
    シングルにするには“夢灯籠”は短いし、“スパークル”は間奏が長い。
    でも彼らはこれらの曲を映画のためだけに作り、そのための必然的な構成でこれらの曲はできています。
    そもそも4曲の歌ものが必要となったのも、この映画が彼らに求めたことです。
    それらの必然にひたすら純粋に向き合いながら生まれた楽曲だからこそ、これらはRADWIMPSのシングルや代表曲になりうるものに、そして「こんなRADWIMPSの曲を聴きたかったんだ!」と思えるような曲になったのです。
    なぜなら、ここまでこの映画が求める必然に向き合い続ける力と資質を持っているのはRADWIMPSというバンドしかいなかったから。
    その使命の大きさを彼らは感覚で理解しながらこのアルバムを作ったのだと思います。
    そしてもちろんこのアルバムの大半を占めている、ジャンル的には今までのRADWIMPSの音楽性とは大きくかけ離れているインスト曲が、この映画の物語にピッタリと寄り添い、そしてやはりRADWIMPSの音楽だと感じさせるのも全く同じ理由からです。

    今までもRADWIMPSは、「自分たちにはこれしかできない、でも自分たちにしかこれはできない」ことを最大限のエネルギーでやってきた。
    アルバム『君の名は。』は、新海誠監督の素晴らしい才能との出会いによりRADWIMPSのそのエネルギーが新しい方向に開かれた作品。
    そしてその音楽は、新海監督の表現がこの世界に向かって大きく開いていくための大きな推進力にもなった。
    本当に奇跡的なコラボレーションだと改めてここに力強く言いたいです。(古河)
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