『アンナチュラル』と"Lemon"と同じく『MIU404』中盤から"感電"が深く沁みてきた

『アンナチュラル』は「不条理な死」との戦いのドラマだった。
そして主題歌である米津玄師の”Lemon"は大切な人の死の内側にある消えない光を繊細かつ力強く掬いとったバラードで、ドラマの中盤から急激にその歌が物語と強烈にエモーショナルな化学反応を起こして、いくつもの名場面を彩った。
大切な人のさまざまな「死」を傍にこれからも生きていく登場人物たちに”Lemon"という楽曲が寄り添っていることに救いと勇気を感じた。

脚本の野木亜紀子をはじめ『アンナチュラル』の制作陣が手がける『MIU404』は、大倉孝二と吉田ウーロン太が演じる毛利&向島刑事も登場するなど、『アンナチュラル』と世界線がリンクしていることも話題だが、物語のテーマにおいてもクロスオーバーする点があると回を追うごとに感じる。
『MIU404』は「理不尽な世界」における死と生の境界線=「死際」で踊るように生きる奴らを痛快に描くドラマだ。
綾野剛が演じる伊吹は人を信じすぎる男で、星野源が演じる志摩は人も自分も信じない男で、性格も経歴も行動パターンも正反対。
でも2人とも「理不尽な世界」における死と生の境界線=「死際」で時に本性を秘めながら、時に本性を剥き出しにしながら、正しいのか行き過ぎなのかわからなくても、その瞬間ごとのやるべきことに全力疾走する。
その細い境界線からいつ足を踏みはずしてもおかしくないスピード感を支えるのが、何にせよ2人が「組んでいる」ということだ。
米津玄師の主題歌”感電”は、”Lemon"のように名場面をエモーショナルに包む込むバラードではない。
しかし今のところはどんなものか想像がつかない《メロウなエンディング》まで全力疾走を止めるわけにはいかない2人の背中に寄り添えるのは、この曲調しかない。
「理不尽な世界」への遣る瀬無さを引っさげたまま、手を叩いて笑い合って踊るこの曲はブルースの魂を持ったダンスナンバーで一言でジャンルを言い表すことはできない。
『MIU404』の最後にかかるべき音楽というのが一番しっくりくる。

野木亜紀子の物語に米津玄師の音楽が寄り添った時に生まれる強く残酷で優しい化学反応は今回も、『アンナチュラル』と”Lemon”がそうだったようにドラマにも楽曲にも永遠の感動を宿らせることだろう。(古河晋)
※一部セリフの記憶違いのご指摘をいただき修正しました。
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