スパイク・ジョーンズ『her/世界でひとつの彼女』は傑作
2014.02.15 00:18
人工知能型OSとの恋愛を通して「リアルな感情とは何か? 愛とは何か?」を描いた映画。
ゴールデン・グローブでスパイク・ジョーンズが脚本賞を受賞したことも話題となったが、まずスカーレット・ヨハンソンが声を演じたOS“サマンサ”が人間には不可能なくらい人間らしい存在となり、そして人間を超越した何かになっていく「成長」の描き方がすごい。
しかし、言葉、演技、映像以外に、この映画を成立させるうえで絶対に不可欠だったものがある。
それは音楽である。
アーケイド・ファイアが担当した音楽があるから、この映画は「感情」や「愛」という目に見えないものを、目に見えないまま確かにそこに存在しているものとして描くことに成功している。
ここまで音楽が映画の本質を表現する重要なものとして扱われ、しかも音楽家がここまで完璧な形でそれに答えた映画は初めてではないだろうか。
2月19日発売CUTの巻頭特集「誰も観てない映画60本!」には、本作についてスパイク・ジョーンズが語った最新インタビューも掲載。
公開は6月28日。(古河)