People In The Box

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「Sky Mouth」
CRCP-10243
CROWN STONES/CROWN RECORDS
2月17日リリース

PITB(って略すのが正しいのかどうか知らないけど)の新しいシングル。
というか、シングルというものを出すのは
確か初めてだから、1stシングルになるのか。
とにかく、おもしろい。

昔、たまがメジャーデビューする時の
ロッキング・オン・ジャパンのインタビューだから、20年くらい前か。
「たまはこんなに自由で独特なのに、なんで他のバンドは
みんな同じような感じなんでしょうね」ってきかれて、
「みんな、その『型』が好きなんじゃないですかね」
というようなことを、答えていた。

つまり、たとえば「ギターとベースとドラムと歌がある」という、「型」。
イントロがあって、Aメロがあって、Bメロがあって、サビがあって、
間奏があって、またBメロとサビがあって、トータルで4分くらいで
終わる、という「型」。
8ビート、もしくは4の倍数か3の倍数でリズムが決められていて、
西洋音階でメロディとコードが作られていて……という「型」。
ロック・バンドの歌詞ってこういう文体で、こういう言い回しで、
こういう内容のことを歌うもので……という「型」。

このバンドは、そういうものに、全力で抗っている。
と、新しい曲を聴くたびに思う。
「歌とギターとベースとドラム」という「型」には思いっきり縛られながら、
その中でどこまで新しいことをやれるかに挑み続けている。

いや、抗っているんじゃないか。単に、自分の思うままに自然に
やると、そうなるんだと思う。
で、その思うままにやる時に、なんでその「型」に従わないといけないのかが
わからないので、ただ、従わずに作っているんだと思う。

だからPITBの曲って、どこがサビでどこがAメロなんだか判然としないし、
イントロや間奏が他のバンドにおけるイントロや
間奏の役割をはたしていないし、
波多野が書いて歌う歌詞は、抽象的過ぎてよくわからない。
わからないけど、強烈に「伝わる」。
そういう3曲。

しかし、3曲入りのシングルで「Sky Mouth」っていうタイトルなのに、
「Sky Mouth」という曲が入っていなくて、しかもリード・トラック扱いの
「天使の胃袋」は2曲目に入っている、というのも、「型」に
従っていませんね。
きっとこの作品、本人たち的には、「3曲入りのアルバム」という意識なんだと思います。

ただ、そんなバンドなのに、すごい勢いで動員と
知名度を伸ばしている現状を見ると
(この作品のリリースツアーの東京公演は3月20日
SHIBUYA-AX。1700人以上入ります)、
世の中捨てたもんじゃないなあとか思ったりもします。
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