「嘘だらけのPEOPLE 1」待ちに待った千秋楽。〈ヒューマンなPEOPLE 1 〉に心掴まれた、あまりにもドラマチックな一夜だった

「嘘だらけのPEOPLE 1」待ちに待った千秋楽。〈ヒューマンなPEOPLE 1 〉に心掴まれた、あまりにもドラマチックな一夜だった

昨日、5月16日に行われた「嘘だらけのPEOPLE 1」KT Zepp Yokohama公演の興奮からまだ抜け出せていないし、抜け出せそうにない。

PEOPLE 1の楽曲はただでさえいろんな顔を持っているけど、その中にもさらに「ハッピーの中のアンハッピー」とか「絶望の中の希望」とか「パンクの中の冷静さ」とか、いろんな裏腹を孕んでる。多様な音楽性に滲むそういう人間らしさがPEOPLE 1のチャームポイントで、昨日の千秋楽は、その愛しさがあらゆる部分で爆発した感動的なライブだった。

ちょっと変な喩えかもしれないけど、今年のアカデミー賞を獲った映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を観た時の感覚ともどこか似ていた。マルチバースをあちこち行き来するように、ジェットコースターのようにセットリストは展開していく。サポート含めたステージ上の5人はひとつの楽器にとらわれず、曲ごとに役割を変えて楽曲世界を表現する。でも、どんな世界でも、どんな曲でも、真ん中にいるPEOPLE 1の愛すべき人柄は変わらなくて、曲を重ねるごとに、ユーモラスなMCを挟むごとに、どんどん彼らとの距離は近くなっていくのだ。

最後のMCでItoは、実は昨年までサラリーマンをしながらPEOPLE 1の活動をしていたこと、当初のツアーファイナルの直前に会社を辞めたこと、そこに至る思いを丁寧に語って、そして”魔法の歌”を歌った。声を詰まらせそうなところは観客に委ねて、歌った。Deuと、Takeuchiと、みんなとの抱擁。映画だったらこれで大団円だけど、そこにはこれからも続いていくPEOPLE 1の、人生の一片が確かにあって、「曲を楽しむ」だけじゃく「彼らを追いかけていきたい」と思わせるドラマがあった。

もとは昨年12月20日に行われるはずだったツアーファイナルの、2度の延期を経た再振替公演という、特殊な立ち位置のライブ。メンバーは登場時から何度も「ごめんね」という言葉を発していたけど、そういういろんな想いも背負った上で、フルスロットルのPEOPLE 1 を今目撃できたこと、とても幸福だった。しかも、今週末からまた新しいツアーが始まるってんだから、追いかけるっきゃないですね。(安田季那子)
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