コロナ禍で活動を本格始動させたKroiは、声出しができなくとも、その卓越した演奏能力が生み出す圧倒的なグルーヴによって、どんなバンドよりも観客と濃密なコミュニケーションを取っていたように思う……のだけれど、ついに声出しが解禁された全国ツアー「Magnetic」では、「素晴らしい演奏に歓声で応える」という観客からの語りかけも加わったことで、その「コミュニケーション」が、会場全体を力強く巻き込んだより親密で肉体的なものへと進化していた。
これまでのディスコグラフィーを総ざらいする新旧織り交ぜたセットリストを、巧みなマッシュアップで繋げまくった2時間。5人は絶えず差し込まれるソロ回しでスリリングに反発しあったかと思うと、内田怜央のボーカルを中心に大きな音のうねりとなって引きつけあい、まさに磁力を帯びているかのように「Magnetic」なライブだった。(特に“risk”の官能的なアンサンブルと艷やかなハイトーン、最高でしたよね!)
『MAGNET』のリリースインタビューでは、Zeppやホールの先の会場を見据え「そこに耐えうるライブが自分たちはできるのか、そこを埋められるだけのリスナーを増やすことができるのか」という悩みを吐露していたけれど、自身最大キャパとなるNHKホール、超満員の観客を前にした今日のライブにはそんな不安を感じる要素がひとつもなかった。Kroiの音楽はこれから更に多くの人を魅了し、より大きな舞台へと歩みを進めていくんだろうな――と思った矢先、ラスト“Fire Brain”の曲間で告げられたのはなんと、2024年1月20日の日本武道館ワンマン開催決定という嬉しいニュース! 武道館という大舞台で、Kroiの音楽が1万人を超える観客とコミュニケーションを取る瞬間を体感するのが、今からめちゃくちゃ楽しみ!(畑雄介)
Kroi、武道館ワンマン開催決定! 今夜の「Magnetic」ツアーファイナル公演は、その道筋を明るく照らしていた
2023.06.23 22:10