Piiが新たに提唱する「御守りポップ」が示すもの――最新曲“ササユリの花の薄化粧”は身に着ける歌

Piiが新たに提唱する「御守りポップ」が示すもの――最新曲“ササユリの花の薄化粧”は身に着ける歌
2021年4月、”カキツバタ”で活動をスタートした謎の青髪アーティストPii


「シン・カヨウキョク」を提唱し全盛を誇るシティ・ポップシーンに彗星のごとく現れた後、Awesome City ClubのメンバーPORINのソロプロジェクトであることを公表。2022年11月には”カキツバタ”を含むデジタルEP『春が呼んでる』をリリースした。


そして先日リリースされた最新曲“ササユリの花の薄化粧”では初めて作曲にも挑戦し、「ここからのPiiの楽曲は『御守りポップ』と提唱し、御守りのように心の拠り所になるようなポップソングを目指していく」と新たなフェーズに移ったことを宣言した。

“ササユリの花の薄化粧”は代表曲"カキツバタ”の流れを組んだ懐かしいメロディとサウンドアプローチで、心の奥で静かに揺れる灯火を両手で覆って消えないようにそっと守ってくれるような、そんな安心感に身も心も包まれる楽曲だ。
ササユリの花言葉である「上品」や「純潔」をまとった恋心が丁寧に描かれていて、失った恋を歌っていても決して切なさに胸が潰されそうになるわけではない。

これまでの、懐かしさ=哀愁と孤独にぴったりと寄り添うことで心を鷲掴みにする破壊力を持ったある種のショック療法的なアプローチとは異なり、確かに「御守り」のように聴くというよりは身に着けることでその効果を存分に発揮してくれる。

ここからのPiiが紡ぐ歌は、ギュッと握りしめて、共に時を重ねていきたいものになっていくのだろう。(橋本創)


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