そんなライブシーンで最近頭角を現し始めているのが、レトロマイガール!!。2021年に結成された大阪発の3ピースバンドで、 青春の甘酸っぱい恋心を素直に音楽に乗せて届けてくれる。と、これだけだとレトマイがどんなバンドなのか伝わりづらいが、ボーカル・花菜の突き抜けるような歌声が聴く者の胸に刺さって、うまく言い表せなかった感情を掬い上げてくれるのだ。
恋人との切ない別れ際を描いた“never”では、花菜の声質と力強い歌いまわしが、かえって強がっている女の子の気持ちを浮き彫りにするようで、喪失感を見事に表現している。思わず聴き入ってしまうような憂いを帯びた歌声は、ライブの空気を変えてしまうほどで、だからこそ感情の機微を描いた歌詞が映える。
一方、今週MVも公開された新曲の“バンジー!”は、好きすぎて持て余してしまうほどの溢れる想いを勢いそのままに放り投げたような楽しい曲。恋心に振り回される様をキュートに描いた《バンジー! 落ちていったらもう 私何も聞こえない》というサビは一度聴いたら頭から離れず、新曲にもかかわらず先月観たライブではみんなが拳を掲げていた。
時にそのパフォーマンスで観客を圧倒し、時にフロアを巻き込んで一体感を生み出す、どんな曲でも山場を作ることができるレトマイのライブ、今のうちにぜひ目撃してほしい。(有本早季)
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