下記ブログで福島が狂喜乱舞してますが、bridge吉井×大木対談が、ほんとにおもしろい。
恒例のアンケートを、JAPAN編集長・古河と知恵をしぼり出して考えたのだが、1番目の質問はやっぱり大当たりだった。
Q 子供の頃、最も怖かったものは何ですか?
原始人みたいな質問だが、独特な宇宙観をもったふたりだからこそ、聞いてみたかったのだ。そして、その答えは……。ネタばれなので書きませんが、もう、50年前の子供か?とつっこみたくなるほどふたりともプリミティブで根源的な「生き物」をあげている。考えてみると、人間の怖いものって時代がたっても変わらないのかもしれない。でも、その理由が、あまりにもおもしろい! あまりのおもしろさに、大木が「ネタじゃないですか!」と吉井に突っ込んでいた。
個人的に好きだったエピソードは、大木が「この世界は誰かに操られている」と子供の頃、思っていたという話。以前JAPANの2万字でも語っていたが、空に向かって「今見てるだろ!」って叫んでた時があったという。なんか、すごくわかる、この感覚。
そんな大木が推薦した映画が、エミール・クストリッツァの傑作『アンダーグラウンド』。意外なセレクトにびっくりしたのだが、先のエピソードを思い出して深く納得した。
第二次大戦からユーゴ内戦を舞台に、家族と友達と愛と裏切りと死が鮮やかに交錯するクストリッツァの真骨頂で、壮大で哀しくて悲劇的でシニカルなのにユーモアがある。戦争が終わったのに、それを知らされないまま地下に潜伏して武器を作り続けている男と、それを元手にして地上で革命の英雄になっていく親友――。世界が何者かによって操られていると感じた大木少年の感覚を見事に寓話化した物語なのかもしれない。
一方、吉井の挙げた『ゴッドファーザー』。昨年秋にリストレーション版が出て改めて見直したのだが、コッポラもびっくりしたという「黒」の美しさに驚き、また家族、世代交代、組織経営という若い頃には気づかなかったテーマにより深く物語に入り込んでしまった。 今の吉井がこれを推薦している、というのがなんだか感慨深い。
というわけで、普段のインタヴューではなかなか観れない、爆笑の中から本質がむき出しになった対談、渋谷は、続編がやりたい、と言っていた。台風上陸の前に買いおきしてぜひ読んでください。(井上)