People In The Box

People In The Box

発売から一週間たった、People In The Boxの『Sky Mouth』。 校了明けて改めてじっくり聴いているのだが、これがやはり素晴らしい。
3曲入りのこの作品、平たく言えばバンド「初のシングル」、なのだが、 そんな言葉が想起させる固定概念や予定調和、「シングル」というフォーマットを軽々と飛び越えた快作だ。
リード曲 “天使の胃袋”が2曲目にあり、この曲を前提につくられた “生物学”と“冷血と作法”がその前後に置かれている。まったく異なる個性だけど、並んだ各曲の繋がりはとても密で、3曲で一つの大きな流れを生み出す組曲のような構成。
あ、こんなやり方があったんだ! と最初に聴いた時は思わずはっとした。
実際、聴き心地がもっとポップでキャッチーな楽曲は過去のPeopleの曲にもあるのだ。 それでもこの作品はとても開けていて、肩の力が抜けた軽やかさがある。
それはただただ自由に素直に、メンバー3人がやりたい音楽をやりたい形で鳴らそうとした探求の結果だろう。

People In The Boxは、楽曲における「繰り返し」と「飛躍」がとても美しいバンドだ。と常々思っているのだけど、それはこの作品でも強く感じる。
同じ単語の繰り返し、同じメロディの繰り返し。 たとえば「ファンファーレ」のすぐ後に「胃袋」という単語が発せられる言葉の飛躍、目まぐるしく移り変わるアンサンブルの飛躍。
それらが心地よさも不気味さも渾然一体にして、イマジネーションを大空へと解放していく。そんな1枚だ。

インタヴューは、2/27発売のJAPANに掲載されます!(福島)
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