毛皮のマリーズ、武道館

毛皮のマリーズ、武道館

最後の最後まで、毛皮のマリーズは毛皮のマリーズだった。それが悔しくって、たまらなく美しかった。

武道館という歴史的な大会場で鳴るには、あまりに無垢で、プリミティブなロックンロール。

どこか思わせぶりな態度でドキドキさせながら、その奥の燃えるような純粋性で私たちの心を強く掴んでいったマリーズは、今日も夢のようなロックンロールそのものだった。

アンコールで“YOUNG LOOSER”をやったあと、彼らはあえて静寂の間を開けて、これが最後となる観客からの呼び声をたっぷりと浴びたのだった。メンバーの名前を呼ぶ声も、やめないで、という叫びもあった。
それまで抑えられていた感傷と、薄々と漂っていた「終わり」の気配とが、一気に逃れられない現実となって、はち切れんばかりに武道館を満たした。
そして、最後の“THE END”。シャンソンのような道化のような志磨の歌から、一気にどしゃめしゃのクライマックスを迎えて4人は去っていった。

湿っぽい言葉はなかった。往生際が良いのか悪いのかわからないが、全身全霊で地団駄を踏むようなアクトが彼ららしいと思った。
完全燃焼、みたいなヘルシーなことばは似合わないし、
個人的にも心にはザラザラゴロゴロとしたノイズの塊が残っているし、やっぱりセンチメンタルな気分になってしまう。
でもそれは、彼らが最後の最後まで、徹底してロマンティックな存在で在りつづけたからだと思う。(福島)
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