Psysalia Psysalis Psyche、ツアーファイナルで突然の解散!


昨日行われた、アルバム『#7』のリリースツアーファイナル、渋谷クアトロ公演。HATE NO HATEとの2マン。

ステージ全体に白い布が張られ、そこにプロジェクターで映像が投影される、ヴィジュアル面でもサイサリの世界観を惜しげもなく表現しきったライヴ。

ノイジーだったりカラフルだったりグロテスクだったりする映像の海の中で、彼らはアンバランスな自分たちの存在意義をまっとうしているように見えた。

不穏で、パンクで、アーティスティックで、尖っていて、ささくれ立っていて、でもどこか飄々とした、いつもどおりのパフォーマンス。

アルバムにいたる6枚連続シングル・リリースのなかで、サイサリは様々なアーティストとのコラボレーションを行ってきた。それによって分かったのは、サイサリのもつ「毒」のようなものの作用が、どんなアーティストと組んでも決して薄まったり消えたりはしないものだということだった。この日のライヴは、それを改めて見せつけるものだったと思う。

二度目のアンコールの前に、ひとりでステージに出てきたヴォーカルの内田紫穏は、「今日来た人は強運」と言ったあとで、唐突にこのライヴをもってバンドが解散することを告げた。エキセントリックなまでに高揚していたフロアが、一瞬静まり返った。

紫穏もギターの松本亨も、なんかやけにステージで「ありがとう」とか言うので何だと思っていたが、そういうことだったか。ファンにとっては決して親切な告知のしかたではないけど、それもまたこのバンドらしい。

いわゆるポップミュージックとして、サイサリの音楽が世間に受け入れられたかといえば、決してそんなことはなかった。むしろ、最初から最後まで彼らは異端だったし、最後まで未完成の危うさを抱えたままだった。でも、サイサリア サイサリス サイケは、アンダーグラウンド・ミュージックとしてのロックのヤバさを魅力的に伝えてくれる、数少ないバンドのひとつだった。彼らのライヴにはいつも、どこか「事件」の匂いがあった。

アルバムを経て、いよいよサイサリとしての表現に確信が深まってきた矢先の解散は残念なことこの上ないが、このバンドが残した2枚のアルバムが、いつの日か再び光を浴びることを願う。(小川)
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