ライヴの間、この前に出たアルバム『YOU』のことをずっと考えていた。
『YOU』のリリースツアーなのだから当たり前なのかもしれないが、だからというわけではないと思う。
『YOU』にあったあの振り絞るような希望、希望的な何か。
ライヴの間、その体温のような、穏やかな空気をずっと感じていた。
僕は今日のライヴ全体をそういうものだと感じた。
ART-SCHOOLのライヴを観ていて、なんだか泣きそうになるのは少しも珍しいことではない。
木下理樹の死生観と厭世観はいつも少しだけ「生」と「世」を肯定するために歌われていて、それはいつ聴いても、どこか切なくて哀しいものだからだ。
だが、今日はとても穏やかな気分だった。
なんだか不思議だったが、今日もやはりちょっと泣きそうになった。
終演後、木下理樹は、「嘘涙でも嬉しいけどー」というような憎まれ口を返してくれたが、確かに僕の表情はセンチメンタルな表情には見えなかったのだろう。
でも、真相は上記のような通りで、穏やかでエモーショナルな、全編に『YOU』の空気で満たされたART-SCHOOLのライヴだった、ということだ。
本当にいいライヴだった。
『YOU』はやはり素晴らしいアルバムだ。最高傑作だとあらためて思う。