こうして久しぶりの新曲を聴くと、あらためて声が素晴らしい人だと思う。
明るくポップでありながら、一定のセンチメントを湛えている声。
J-POPにおいて長く活躍するシンガーはみなそういったドラマ性をその声に内包している。
AKB48においては言うまでもなく絶対エースだった彼女だが、その絶大なる存在感と並び、というか、むしろその存在感の礎になっていたものはやはりその声だったのではないか。
最近、AKB48の楽曲から、あの圧倒されるほどのユニゾンによる独特の「声の壁」感が薄れているような気がしていたが、それもまた、あの声の塊において大きなバックボーンとなっていた彼女の声がないから、なのかもしれない。それはそれでまた違う魅力になっているのも間違いないが。

彼女の歌声がいかに明るく弾けていようと笑顔でいようと、微妙に揺らぎ、そして震えるこの声を聴くだけで、いくつものドラマが思い浮かんでくる。
これまで、その声がひとつの媒介としていくつものドラマを演出してきたから、という背景も大きいが、それ以上にやはり絶対的なセンチメントがこの声にはあるのだと思う。
たくさんのパターンの歌を、できる限りたくさんの場所で歌ってほしいと切に願う。

写真は前作シングル『君は僕だ』のジャケ写。
カップリングの”右肩”は前田敦子的センチメンタリズムの極みだろう。
ファンの評価ももちろんすごく高いが、本当に素晴らしい歌だと思う。

”タイムマシンなんていらない”
作詞：秋元康　作曲：you-me 編曲：you-me