チャックD「白すぎるオスカー」が最後に“Fight the Power”を流したことにもの申す

チャックD「白すぎるオスカー」が最後に“Fight the Power”を流したことにもの申す

「白すぎるオスカー」と言われた今年のアカデミー賞。司会のクリス・ロックは最初から最後までそれに対してのギャグを言い続け、だいたいは面白かった。しかし最後に、パブリック・エナミーの“Fight the Power”が流れた瞬間、それはどうなんだ?と疑問の声があがった。権威と戦うという曲なのに、この場合叩かれている権威側(オスカー)が流してどうするという。しかも一番大事な3番。「エルヴィスと、ジョン・ウェインは多くの人達にとってはヒーローだったのかもしれないが、俺達にとっては意味がない存在だった」という人種差別を最も訴えている歌詞の部分は消されていた。

パブリック・エネミーのチャックDもすかさずコメントをしている。
「“Fight the Power”の意図は、いつの日か変化を起こすんだという叫びだった。そういう概念を喝采するための曲ではない」
「それに今のアーティストがやっていることを賞賛することの方が、未来に繋がると思う。“Fight the Power”も、映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』も1990年のオスカーでは何も受賞しなかった。その年に受賞したのは『ドライビングMissデイジー』や『グローリー』だった」
確かに、オスカーではないけど、グラミー賞でケンドリック・ラマーが最優秀アルバム賞を受賞しなかったことも思い出す発言だ。

ただ、司会者のクリス・ロックからオスカーへのメッセージだったと考えると辻褄は合う。実際、クリス・ロックがオスカーの中で、KRSワンとオール・ダーティ・バスタードと“Fight the Power”をネジ込んだだけでも素晴らしかったのでは、という意見にチャックDは同意している。

パブリック・エナミーの“Fight the Power”は、映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』のために書かれた曲だった。『ドゥ・ザ・ライト・シング』の監督スパイク・リーは、今年のオスカーをボイコットし、代わりにバスケ・チーム、ニックスの試合にタキシードと金のジョーダンで観に行っている。
http://newyork.cbslocal.com/2016/02/29/spike-lee-knicks-gold-sneakers-academy-awards/

“Fight the Power”のMVはスパイク・リーが監督。余談だが、オバマ大統領とミッシェル夫人が初めてのデートで観に行った映画は『ドゥ・ザ・ライト・シング』だった。MVはこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=8PaoLy7PHwk
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