ローリング・ストーンズの新曲も披露した最強ライブを観た! トランプに皮肉、最新ライブ映像も公開

  • ローリング・ストーンズの新曲も披露した最強ライブを観た! トランプに皮肉、最新ライブ映像も公開 - pic by MIKIO ARIGA

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ローリング・ストーンズはある時から、もう年齢を超越した存在になってしまったんじゃないだろうか? そう思えるくらい完璧にして最強のライブを週末にラスベガスのTモバイル・アリーナで観た!

そのライブ映像が一部公開されている。映像はこちら。

実は当初、ラスベガスでは2日間ライブが行われるはずだったが、ミック・ジャガーの喉の感染症のため10月19日に予定していたライブはキャンセルとなった。ストーンズは、その前に2週続けてデザート・トリップという、史上最高に豪華なメンツが揃ったフェスに出演していて、そのせいだと思う。フェス会場が砂漠にあって、もの凄い埃が舞う場所なのだ。そこでもストーンズのエネルギーの高さは評判となっていた。
ラスベガスでは結局、初日をキャンセルした後、2日目、22日のライブは無事に行われたので、それを観ることができた。今のバンドのスピリットの高さを象徴するような内容であり、いくつかの特別な瞬間もあった。

会場は2万人のキャパで、ストーンズとしては小さすぎる場所。「レディース&ジェントルメン、ザ・ローリング・ストーンズ!!」というアナウンスで始まり、早速キースが花道に出て、“ジャンピン・ジャック・フラッシュ”のギター・リフを華々しく弾くと、一瞬にして会場は歓喜に包まれた。

ミックの喉の調子が心配だったが、1曲目の前半だけ慎重に歌っていたような気がしないでもない……という程度で、アリーナの観客の声援も凄まじかったし、喉の不調などは誰も感じないくらいだったと言ってもいい。むしろ休みを取ったおかげで、絶好調だったとすら思えるくらいだった。

最近、ミックがトレーニングする映像がネット上で飛び交っていたが、それを見て納得。この日の動きも、360°どの角度から見ても完璧でかっこ良すぎた。73歳とは思えない……というよりは、今が旬の20代のロックンローラーだって、ミックほどシャープに動けるフロントマンなんて思いつかない。彼らがいまだエンターテイナーの頂点にいるのは当然だと思えた。そのためにどれだけの努力をしているのかと思うと、プロ意識の高さも感じずにはいられない。

セットリストはデザート・トリップとほぼ同じで、“夜をぶっとばせ”、“イッツ・オンリー・ロックンロール”と快調に飛ばした。

この日、とりわけ特別だったのは、なんと11年ぶりの新作『ブルー&ロンサム』の曲を演奏したことだろう。ミックは、「俺達は最近スタジオに入って、ブルースの曲をレコーディングしたんだ。それで、『ブルー&ロンサム』という新しいアルバムが出ることになった。今日は、その中から“ライド・エム・オン・ダウン”を演奏する」と言って、エディ・テイラーのカバー曲を演奏した。

ストーンズが、ブルースの曲をアルバム1枚分カバーするなんて、ファンには嬉しすぎる豪華すぎる企画。「構想に50年、レコーディングに3日」といううたい文句の通り、デビュー時にはブルース曲をカバーしていたバンドは、50年経過してそれをようやくストーンズの曲として鳴らせるような経験を積んだということだろうか。“ライド・エム〜”では、その他のストーンズのヒット曲と同じレベルのパワーを放つ素晴らしい演奏を披露していた。ロニーのギター・ソロは聴きごたえがあったし、ミックのハーモニカにも熱がこもっていた。キースは満面の笑みになっていて、新作への期待が上がりまくるカバーだった。

新作の予告編はこれ。

ミックは現在のバンドのテンションの高さを象徴するように、または初日をキャンセルしたから申し訳ないと思ったからか、この日ジョークをいくつも言っていた。

今年できたばかりのアリーナだったため、「ラスべガスにまた来れて嬉しいよ。しかも新しいアリーナで演奏できるなんて!」と語った後、「ラスベガスに、とうとうプロのスポーツ・チームが出来ると聞いたんだ。でもホッケー・チームはまだ名前がないらしいね。ラスベガス・ブラックジャックスっていうのはどうかな? またはラスベガス・フッカーズ(売春婦)っていうのはどう? ラスべガス・ハングオーバーズ(酔っぱらい)とか?」と言ったり。

また、19日のライブをキャンセルしたことを「本当に申し訳なかった」と言った後、「でも、同じ日に喜劇か、または悲劇が行われていたらしいね」と語ったりしていた。実は19日にラスベガスで、ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンによる大統領選の最後のディベートが行われたのだ。それを「喜劇か悲劇」と短くだが鋭く皮肉ったのがさすがだった。

さらに、「実は俺はデビット・カッパーフィールド(マジシャン)を観に行ったから、水曜日丸々どこかに消されてしまったんだよ」とキャンセルした理由をジョークにしたり、「ロニーは、双子と一緒にビックアップルコースターに乗ったら、思いきり全身に吐かれてしまったそうだけどね。チャーリーは、(べガス一有名な)ミッドナイト・アイドルことウェイン・ニュートンを観に行って彼に馬を売ったらしい!」とラスベガスにまつわるご当地ネタで会場を笑わせていた。このようなジョークひとつとっても、さすがエンターテイナーの鏡と思う瞬間だらけだった。

そしてこの日、もうひとつ特別だったのは、キースがソロ曲を3曲も演奏したこと。普通は2曲であることが多いが、キースは「今日は3曲演奏するよ。バンドの事情があってさ」と語った。恐らく、ミックの喉を休ませる必要があるということだと思う。そこで“スピリット・アウェイ”、“リトルT&A”、“ハッピー”を演奏。「サンキュー、イッツ・オンリー・ロックンロール!」とキースが言い、ミックが戻ってくるとそこから“ミッドナイト・ランブラー”。この曲では、メンバー全員がそれぞれ花道に登場し、この日最大の見せ場と言える演奏を披露した。

今年は、バンドはキューバで50万人という観客の前で、史上初のライブを行っている。ドキュメンタリー映画『オレ!オレ!オレ! ア・トリップ・アクロス・ラテン・アメリカ』(トロント映画祭のみで上映された未公開作品)の中でも、50年バンドをやってきていまだに観客の前に立ち歓声を聴いた時にどれだけ感激するのかについて語っていた。

このラスベガス公演でも、観客の大歓声を浴びながら、今のストーンズから最高のものを出すライブをしてくれたと思う。

キューバのライブがあり、デザート・トリップがあり、新作があり――ミックは「もう何年バンドをやってきたのか、途中で数えきれなくなってしまうくらい演奏してきた曲だけど、みんなにありがとうとお礼を言っておきたい」と語っていた。その言葉の通り、セットリストは、数えらないくらいほど多く演奏してきた曲ばかりだったが、だからこそ、今年はバンドにとって特別な年であることを感じさせられるライブだった。

詳しくはまた12月1日発売の『ロッキング・オン』でレポートさせていただく予定。

セットリスト、最新作の情報は以下の通り。
1. Jumpin' Jack Flash ジャンピン・ジャック・フラッシュ
2. Let's Spend the Night Together 夜をぶっとばせ
3. It's Only Rock'n'Roll イッツ・オンリー・ロックンロール
4. Tumbling Dice ダイスを転がせ
5. Ride 'em On Down ライド・エム・オン・ダウン
6. Paint It Black 黒く塗れ
7. Honky Tonk Women ホンキー・トンク・ウーマン
8. Slipping Away スリッピング・アウェイ
9. Little T & A リトルT&A
10. Happy ハッピー
11. Midnight Rumbler ミッドナイト・ランブラー
12. Miss You ミス・ユー
13. Gimme Shelter ギミー・シェルター
14. Start Me Up スタート・ミー・アップ
15 Sympathy for the Devil 悪魔を憐れむ歌
16 Brown Sugar ブラウン・シュガー
Encore
17. You Can't Always Get What You Want 無情の世界
18. Satisfaction サティスファクション

11年振りの新作『ブルー&ロンサム』は、12月2日発売予定! 詳細はこちら。
http://www.universal-music.co.jp/rolling-stones/news/2016/10/06_release/
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