NYタイムズが選ぶ21世紀のベスト映画25本が発表。2位に宮崎駿映画が!

NYタイムズが選ぶ21世紀のベスト映画25本が発表。2位に宮崎駿映画が!

NYタイムズが、21世紀のベスト映画25本を発表した。もちろん、2017年時点での、ということになるが。
https://www.nytimes.com/interactive/2017/06/09/movies/the-25-best-films-of-the-21st-century.html?_r=0

とりあえず、1位から10位はこちら。残りは上のリンクをクリック。
1. 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)ポール・トーマス・アンダーソン
2. 『千と千尋の神隠し』(2002年)宮崎駿
3. 『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)クリント・イーストウッド
4. 『罪の手ざわり』(2013年)ジャ・ジャンクー
5. 『ラザレスク氏の最期』 (2006年)クリスティ・プイウ
6. 『ヤンヤン夏の想い出』(2000年)エドワード・ヤン
7. 『インサイド・ヘッド』(2015年)ピート・ドクター、ロニー・デル・カルメン
8. 『6才のボクが、大人になるまで。』(2014年)リチャード・リンクレイター
9. 『夏時間の庭』(2009年)オリヴィエ・アサヤス
10. 『ハート・ロッカー』(2009年)キャスリン・ビグロー
※公開年は該当記事に記載のもの

こういうリストは、見ながらコレが入ってない、アレが入っていないとぶーぶー文句を言うのも楽しみの一部だが、嬉しいのは、2位に宮崎駿の『千と千尋の神隠し』が入っていること!NYタイムズは、「この作品の芸術性と魔法は、言葉では説明できないほど」とまで言ってしまっている。「だが敢えて宮崎の大ファンであるギレルモ・デル・トロに彼の素晴らしさを語ってもらうことにする」と彼のコメントを掲載している。以下内容の抜粋。

「僕はメキシコで子供の頃に宮崎映画と出会いました。例えば『長靴をはいた猫』などで、宮崎が描いた魔王に追いかけられるシーンや、城をのぼっていくシーンなどは、正に宮崎映画という感じで本当に大好きでした。

もう少し大きくなってから『となりのトトロ』を観ました。あまりに感動して涙が出てしまいました。というか、もう涙が止まらなくなってしまったのです。あの美しさに、子供がいかに無垢であるのかを捉えたあのずば抜けた才能に。それですぐに彼がこれまで手がけた作品をすべて捜しました。彼を東のディズニーと位置付けるのは、あまりに大きな誤称です。宮崎は宮崎でしかないからです。

『千と千尋』において、彼女は子供から成長する過程ですべてを失います。両親を失い、名前を失う。だけど、そこには美があります。非常にメランコリックな熟考があります。すべての宮崎映画にあるメラコリーがあると思うのです。

また宮崎のモンスターへのアプローチは独特です。デザインとして完璧に新しいし、それでいて、古代から伝承されたものを起源にしているように感じられるのです。それは、よりプライマルな力を表現しているようであり、そのスピリットは、地球、風、水、などに繋がりがあります。それは自然界の基本的な要素なのです。

彼は常に優雅さとパワーを見出します。そしてパワーを良い人にも、悪役にも同じように使います。優雅さを破壊的なモンスターの中にも描き、良いモンスターの中にも描きます。それも彼の美しいところだと思います。彼は、良いことを追求しようとしてはいけない、と分かっているところだと思います。何が良いことなのかを定義しようとした瞬間に、それは、悪になってしまうことが分かっているのだと思うのです。それから、美を追求しようとしていはいけない。それを定義しようとした瞬間にそれが醜いものになってしまうことを分かっているのだと思うのです。

僕はもちろん宮崎と似たところがあると思っています。彼が描いているのと同じような、喪失した感じ、メランコリーそして悲劇を、『デビルズ・バックボーン』や、『パンズ・ラビリンス』でも描こうとしました。

美に感動して、それが言葉にならないような瞬間があります。それは作りものではなく、アートには、自然界でそこまでピュアなものに出会えるとは思ってもみなかったようなことを描く力があるのだと思います。宮崎が持っているパワーとはそれなのです」

紙面では、ソフィア・コッポラやアントワーン・フークワなどに、個人のベスト10を聞いたりもしている。
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