来日直前の予習!フリート・フォクシーズにインタビューした。今回の来日公演が特別である理由+最新作の曲解説。

来日直前の予習!フリート・フォクシーズにインタビューした。今回の来日公演が特別である理由+最新作の曲解説。 - Photo by Shawn BrackbillPhoto by Shawn Brackbill

来日が今週に迫ったフリート・フォクシーズ。来日の情報はこちら。
http://smash-jpn.com/live/?id=2779

なんと6年のぶりの来日となるわけだが、実は、今回の来日がバンドにとってもとりわけ意味深いものであるということを、インタビューで語ってくれた。

フリート・フォクシーズは、『ヘルプレスネス・ブルーズ』で人気も評価も絶頂と言える時に、いきなり、“消滅”した。果たしてバンドが戻ってくるのかどうかも分からない状況で、“活動休止”に入ってしまったのだ。その最後のライブが、忘れもしない2012年1月20日の東京新木場スタジオコーストで行われたもの。それを最後にジョシュ・ティルマン(ファーザー・ジョン・ミスティ)が脱退している。そして去年、新作『クラック-アップ』を完成させ、その“最後”となった地に戻ってくるのだ。

ロビン・ペックノールドに、来日公演への思いと、新作『クラック-アップ』の曲解説をしてもらった。来日公演の予習にどうぞ!

〈来日公演の思い〉


●東京でのライブを最後に約6年間の活動停止期間に入ったわけですが、あのライブをどのように覚えていますか?
「うん、すごいいいライブだったと思う。ただ、実はあのツアーの間中、僕は体の具体が悪かったんだ。しかも、日本でのライブの後、家に戻って、すぐに手術をしなくちゃいけなかった。でも日本の観客はみんなすごくクールだったし、東京に行くのが大好きだから、最高だったよ。でもだからこそ、今回、日本に行くのがめちゃくちゃ楽しみなんだ。前回のツアーでは、病気だったからね。それだけが残念で仕方なかったんだ。でも、今は健康になって、また日本に行ける。バンド・メンバーも今は仲が良いし(前回のツアーでは、長い間ティルマンと会話もしていなかった)、だからまた日本で演奏できるのが楽しみで仕方ないんだ。ものすごく嬉しいよ」

●ちなみに、興味深いのは、新作『クラック-アップ』全体にある種の日本テーマのようなものがあるということです。
「そうだね」

●アルバムのジャケットも日本の風景で、日本のカメラマン濱谷浩が撮ったものです。実はカメラマンが撮ったというクレジットを見るまでずっとこれは写真じゃなく絵だと思っていました。これを写真だと思って見ても、写真とは思えないような、すごく不思議な光景が広がっています。
「うん、君の言う通りだよ。元々は、彼の本を買ったのがきっかけだったんだけど、その前に、彼が日本の風土や人の写真を撮った習俗の写真を見ていたんだよね。様々な村で、様々な習慣の違いを写真に収めていたんだ。それぞれの服装の違いとか、子供達とか、それからお米を作っている農家の人達の写真とかね。そこで着ている服がまたすごく美しかったんだ。それで、彼の写真に興味を持って色々と調べていた時に、彼が撮った風景の写真集をNYのストランドブックストアで見付けたんだ。それが、とにかくクールだったんだよね。

来日直前の予習!フリート・フォクシーズにインタビューした。今回の来日公演が特別である理由+最新作の曲解説。

このアルバムで使った写真には、人が写っていないのに、人間性とか、心理とかが、映し出されているところが好きだった。とりわけ、僕がジャケットに使った写真は、ここから溢れ出るエネルギーやドラマにぶっ飛んだんだ。それで、これまでの僕らのアルバム・ジャケットは、黄色っぽい色合いで、人がたくさん描かれているし、そこで、色んな人間の物語がたくさん起きている。だから、このアルバムでは、人間が誰一人して写っていないのもかっこいいと思ったんだ。人が写ってないのに、人間らしくて、心理的だ。嵐のような感じで、ものすごくエネルギーと、動きがある。煙が海から出ているし、雲が海岸沿いに向かっていて、波が岩の上で砕けていて、だけど、その角に、遠くに、金色に輝く場所がある。それが僕には、人生そのものに見えたんだ。色んなものが見えて、色んな方向に引っ張られながらも、でも、その角には、すごく小さな希望の光が、いつでも見えている、というね。この写真は、多くの事を語るモニュメントのようだと思ったんだ」

〈アルバム曲解説〉


1stシングル “サード・オブ・メイ/大台ケ原”

こちら、ライブ映像


●最初に出来た曲はどれだったのですか?
「“サード・オブ・メイ〜”だね」

●この曲は、タイトルに「大台ケ原」があるのみならず、歌詞の最後に「これは日本で終わった」と書かれていますよね。
「そうだね。“サード・オブ・メイ〜”には、日本との結び付きがある。それは、『ヘルプレスネス・ブルーズ』のツアーが、2012年の東京のライブで終わったからだ。だから、曲の後半を大台ケ原と名付けたんだ。それは、日本での僕らのモードを、大台ケ原に雲が立ち込める様子として描いたんだ。その時、音楽に形がなくなり、音楽が単なる煙に変わっていた、ということをね。この曲はスカイと僕との関係性について歌ったもので、僕らがバンドを始めたこと。そして一旦終わったこと。そして今またここにいる、ということについて。5月3日はスカイの誕生日であり、またここでは、ゴヤの絵画、“マドリード、1808年5月3日”についても描いているんだ」

●この曲は、アルバムを通して聴いていると、なぜか、いつも突然胸が一杯になって涙があふれます。
「えええ。いや、実は僕もこの曲は、レコーディングで歌っている時になぜか何度も泣いてしまった曲だったんだ(笑)」

●そうなんですか(笑)!
「(笑)あの曲を歌っていると、何かを感じて泣いてしまう、というものでもなくて(笑)。いまだにあの曲は聴いただけで、なぜか涙が出てきちゃうんだ。すごい変だと思うけど(笑)。でも、『なぜか涙が止まらないよ〜』ってなっちゃうんだ(笑)」

●(笑)。
「(笑)あの曲はいくつかの部分を繋ぎあわせてできた曲で、最初にメロディがあって、そこからコード進行は何年かあって、真ん中の部分は全く違う曲として作ったもので、最後の部分は、レコーディングをしている時に書いたものだった(*)。だから、数年かけて完成した曲だったんだ。それで、うんと、(長い沈黙)、えっと、いつも、僕の中では(長い沈黙)、あの曲は、僕の中ではいつも一番大事な曲で、一番時間も費やしたし、すごく長い間かけできた曲だったんだ」

(*このアルバムのタイトル『クラック-アップ』は、フィッツジェラルドの小説のタイトルから取ったもの。その小説はフィッツジェラルド自身が精神的な“崩壊”を記録したものだったので、ロビンが共感したというのが一つ。また、この中で、フィッツジェラルドが、“一流の知性というのは、二つの全く異なる概念を同時に成立させ、機能させることができること”と書いていることが音作りにも影響している。)


1曲目“I Am All That I Need/Arroyo Seco/Thumbprint Scar”

ライブ映像はこちら。


●この曲は6年ぶりの新作を“堂々”幕開けする曲で、歌詞だけ読むと「僕は自分ひとりで大丈夫なんだ」と勇ましい内容ですが、その歌い方が、まるで僕ひとりではやっていけないと歌っているようです。そもそも、女性ボーカルとのハーモニーになっていて、全然ひとりではダメなのでは?と思う始まりですが。
「(笑)そうだね」

●サウンド的にも、これまでにないような歪みがあり、このアルバムは早速これまでとは違うものになるということを告げているとも思うのですが。
「うん、そうだね。僕はこれまでの歌詞では、自分が本当にこうなりたいんだとか、これが僕の生き方なんだ、ということを、その意味のまま歌ってきたと思うけど、でも、このアルバムでは、まるで俳優が台詞を言っているような気持ちで歌詞を歌っている箇所がある。そうすることで、その歌詞が直接意味していること以上のことを場合よっては伝えられると思ったからね。そういうことを考えるのが面白かった。だから、歌詞と声が必ずしも一致していない。でも、僕の真意は、それをどうやって歌うかの方にある。

それで、この部分、(♪歌い出す)“I am all that I need”(=自分に必要なのは自分だけ)は、学校に通っている時に、街を歩いていてふと浮かんだメロディなんだ。一人でね。だからそれを自分の中では、信じたいと思っていた。なぜなら、その当時は、ほとんどいつも一人だったからね。だけど、うん、実際は、僕は本当はそんな風には感じてはいなかったと思う。それで、(長い沈黙)それももう少し歌詞にできれば良かったんだけど、実はその曲は、デュエットとして書き始めたもので、笑えると思ったからね」

アルバム最後の曲 “Crack-Up”

●アルバムの終り方は本当に美しいですよね。“Dividing Tides/Rising over me”という歌詞のところまでくると、もう荘厳とも言える美しい風景が目の前に広がるようですし、希望が降り注ぐような箇所です。
「そうだね」

●しかも自然界を目の前にしてそのイメージがこれまでになくリアルです。さらに、その曲が終わってから、あなたが階段を駆け上がるような音が入っていて、そこに非常に人間性があります。あなたがまるで地下から屋上に上がって、「僕はここにいる。もう次の旅に行く準備はできているんだ」とでも言わんばかりで、リアルな人間的な感触があります。
「うん、そんな風に言ってくれて嬉しいよ。それが正に僕が意図したことだったからね。
このアルバムは非常に心理的な作品でもあり、スペースもたくさんあって、時間もかかったし。曲の中には、存在、について書いたようなものもあって、でも、最終的には、どこかで地に足のついた作品にしたかった。だから足音があるのは、そこで、地に足のついた新しい未来に向かっていることを提示したかったからなんだ。つまり、これまでよりも、現実的な未来に向かっているということを提示したかったんだ」

●正に新しい始まり、次の旅への準備はできているんだ、そんな感じがする終り方です。
「そうだね」

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