カニエ・ウェストが、ホワイトハウスで大統領と対面。クレイジーだった、としか言いようのない内容。

カニエ・ウェストが、ホワイトハウスで大統領と対面。クレイジーだった、としか言いようのない内容。

カニエ・ウェストが予定通り、大統領と会食をするためにホワイトハウスを訪れた。会食の前に大統領執務室を訪れて、記者とカメラの前で、大統領と対面し全米に生中継された。そこでなんと10分間にわたり、なぜ赤いキャップが好きなのか?から、スーパーマン、メンタルヘルス、リーバイス、シカゴについてなど、とにかく言いたいことを言いまくった。カニエとしては想定内ではあるが、ホワイトハウスの基準で考えると前代未聞の会見となった。

カニエが10分間語りまくる映像はこちら。
https://youtu.be/C0VRY5Ros0w

カニエがここで語っていたことを、書くほどでもないような気もするがいくつか紹介する。

1)なぜ大統領がキャンペーンに使っている”Make America Great Again”の赤いキャップをかぶるのか?について。

「俺は、子供の頃両親が離婚し、男親が不在で育ってきた。そして今結婚した相手の家族には男性的なエネルギーが欠けている。ヒラリーは好きだけれども、彼女のキャンペーンのキャッチフレーズ”I’m with Her”だと、男親なしで育ってきた自分にとっては、息子とキャッチボールをできるようになる男に自分がなれないような気がした。だけどこの赤いキャップをかぶると自分がスーパーマンになったように思えた。スーパーマンは、俺が一番好きなスーパーヒーローだ。つまりあなた(大統領)は、俺にスーパーマンのマントを授けてくれたんだ」

2)銃:
「問題なのは違法の銃であって、合法の銃じゃない。人は銃を持つ権利がある」。この発言のあとアメリカライフル協会がカニエ支持を即座に表明。

3)エアフォースワンの代わり:
「大統領がカッコ良くないと俺達がカッコ良く見えない」と携帯を出して説明。エアフォースワンの代わりにアップルに「i Plane1」を作ってもらうことを提案する。

4)中国の安い工場で製造せずに、シカゴに例えばリーバイスの工場を作って、トランプと名付ければいい。

5)学校は退屈なので、子供達はバスケットをしながら数学を勉強すればいい。

6)未来のことは心配するな。今だけ考えろ。

7)警察の暴力を止める方法は愛だ。

8)リベラルは、人種差別のことばかり話すことで、黒人の意識を妨げようとしている。

9)シカゴマフィアで現在捕まっている人の罪が重すぎるので、見直して欲しい。

10)自分は睡眠障害だったのにバイポーラーと間違えて診断されていた。

11)「まさかこんなマザーファ***が来るとは(大統領も)思ってなかったと思う」とホワイトハウスで恐らく初めて放送禁止用語を中継中に言う。

12)大統領に「アイ・ラブ・ディス・ガイ」と言ってハグする。

13)またこの後ワシントンDCのアップルストアに行き、机の上に乗って「keynote」を始めた。その映像を偶然そこにいたCNNの記者が撮影している。大統領に「黒人にとってはアメリカがグレートだったことは過去にないので」「Make America Great」とだけ書かれたキャップを作り渡したそう。「そしたら彼は被ってくれた!他の人の意見を聞いてくれるという証拠だ!」と嬉しそうに写真を見せている。
https://twitter.com/caroline_mkelly/status/1050502691275845634

14)最後は、「これからアフリカに行く」と去った。元々アフリカでレコーディングすると言っていた。

他にももっと話しているが書ききれないのでこのくらいにする。

いつもは人を遮っても話す大統領が、ほぼ無言で聞いているのがすごい。

カニエについて、どのメジャーなメディアも早速報じていたが、こんなことよりもっと大事なことがあるだろうと、例えばハリケーンなどのニュースにすぐ話題を変えていたのも印象的だった。ニューヨーカー誌も「カニエ・ウェストの予想できない行動はこれまでショッキングだったが、今ではまるで陳腐なものになってしまった」と書いていた。

あるニュース番組は、大統領のカニエとの対面を「リアリティ・ショー・プレジデント」というテロップで報じていたが正に、と思った。こんなことがホワイトハウスであったことが信じられない。と同時にこの大統領ならあり得る。

カニエが音楽的に天才であることは誰もが認めるが、こういう行動が彼の音楽を聴く妨げになることが残念で仕方ない。私個人も彼があの赤いキャップをかぶって以来、つまり”Ye”は買ってあるが、心が落ちてから聴こうと思い、落ち着くどころか悪化してるので、残念だがまだ聴けていない。カニエが誰を政治的に支持するかは、もちろん自由ではあるのだが。
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