これまで政治的な意見を述べることを避けてきたテイラー・スウィフトが、昨日初めて支持者を表明した。
一瞬でメジャーなニュースメディアも取り上げる騒ぎになったばかりか、なんとテイラーが支持者を発表したことで、有権者登録数が記録的な上昇をしたというのだ。これも、各ニュースメディアが大々的に取り上げている。また、トランプ大統領は、彼女の支持に反発のコメントを出した。
https://www.cnn.com/2018/10/09/entertainment/taylor-swift-voter-registration/index.html
Vote.orgの発表によると、テイラー・スウィフトが支持者を発表してから24時間以内に、65000人が新たに登録したということ。それと比較すると、9月1ヶ月間の新登録者数は19万人。8月はわずか56000人だった。
またテイラーの出身地であるテネシー州では、テイラーの発表から36時間以内に、2144人の登録があったということ。テネシー州の9月1ヶ月の登録者数は2811人、8月はわずか951人だった。
テイラーのインスタの内容は以下の通り。
「11月6日に行われる中間選挙についてポストします。私は、テネシー州で投票することになっています。これまで、私の政治的な見解を公にすることは避けてきました。しかしながら、この2年間での私個人の人生における出来事や、世界的な情勢を見るにつけ、今は、これまでは違う思いを抱いています。私は、これまでも、そしてこれからも、どちらの候補者が、この国で保障されるべきだと私が信じる人権を守り、戦ってくれるかを考えて投票します。私は、LGBTQの権利を保障するために戦うべきだと信じているし、性的指向、性別による差別はどんなものであっても間違っていると思っています。また、この国にいまだ存在する有色人種への組織的な差別は、恐ろしいばかりかうんざりするし、しかしいたるところにあると思います。
私は、肌の色や、性別や、誰を愛するかに関係なく、全てのアメリカ人の威厳のために戦ってくれない人には投票できません。テネシー州では女性の候補者Marsha Blackburnが立候補しています。私は、これまで同様、女性議員を応援したいと思っています。しかし、Marsha Blackburnは支持できません。なぜなら彼女のこれまでの議会での記録が恐ろく、ゾッとするからです。彼女は、女性の男性との平等な賃金に反対と投票しています。女性への暴力に対する行動の再承認にも反対の投票をしています。これは、女性を家庭内暴力、ストーカー、デートレイプから守るものです。さらに、彼女は、企業はゲイのカップルへのサービス提供を断る権利があると信じています。また、彼女は、ゲイのカップルは結婚できないと信じています。これらは私の信じるテネシーの価値観ではありません。
私は、上院議員はPhil Bredesenに、下院は、Jim Cooperに投票します。(*両者とも民主党)
どうかどうか自分の州の候補者について学び、誰が自分の価値観に最も近いかを考えて投票してください。自分の価値観と100%同じ候補者を見つけることは、ほとんどの人達にとって不可能だと思います。だけど、絶対に投票しなくてはいけません。
すごく知的で、思慮深く、冷静沈着な人達がこの2年間で18歳になり、選挙権を得て、投票できる特権を得ました。投票するためには、まず投票登録をしなくてはいけません。それは簡単ですぐに終わります。10月9日は、テネシー州で登録をする最終日です。Vote.orgに行ってください。必要な情報は全てそこにあります。Happy Voting!」
Marcha Blackはトランプが支持する候補者だったため、トランプが早速反発している。レポーターに訊かれて、「テイラー・スウィウトは、間違いなくMarsha Blackburnについて何も知らない。それに、これでテイラー・スウィフトの音楽がこれまでの25%は好きではなくなった」とコメントした。
テネシー州は、保守的な州で共和党がもともと優勢だ。本記事執筆時点でも、テイラーの支持している候補者が勝つ確率は20%と言われている。
https://projects.fivethirtyeight.com/2018-midterm-election-forecast/senate/tennessee/
元アラスカ議員であるマイク・ハッカビーは、「テイラー・スウィフトが政治的になる権利はもちろんあるが、彼女が選挙に影響を与えることはない。13歳の女の子が投票できるようにならない限りはね。僕はMarsha Blackburnを引き続き支持」とツイートしている。
テイラーのファンは、13歳の女の子ばかりではないし、ファンは当然大反発している。多くのファンは、彼女が2006年にデビューして以来テイラーと一緒に成長してきたので、みんな18歳以上になっている!と。
ミレニアム世代は、他のどの世代よりも民主党支持でリベラルであるが、2014年中間選挙での投票率はわずか20%だった。テイラーの発表により、投票率が上がる可能性もあるかもしれない。テイラーが支持するBredesenが勝つには、「メンフィス、ナッシュビル、ノックスビルの大都市郊外の女性の投票――つまり、テイラー・スウィフトファンの投票――にかかっている」という記事も発表されたくらいだ。
http://time.com/5419015/taylor-swift-instagram-endorsement-tennessee-democrat/
テイラーはこれまで、ポップスターとして大きな影響力を持つのに、支持者を発表しなかったことを批判されてきた。2012年には、「自分の意見が、人に影響を与えるかもしれないのに、自分ではまだ誰に投票するべきだと語れるほど政治が分かっていない」と発言した。オバマへの支援も示したことはなかった。
また、2016年にトランプが立候補した際は、「私は政治について述べるつもりはない。それは私がやろうとしていることではないから。私がやろうとしているのは、音楽だから」とコメントした。すごく全うだと思うが、「投票するように」とだけポストして批判された。トランプを批判しなかったから、トランプに投票したと言われたくらいだった。それは彼女の仕事ではないし、誰に投票しても彼女の自由なのに、かわいそうだと個人的には同情した。しかし、それくらいここ数年のアメリカが政治的に激動の時代だったということ。また、彼女がどれだけのスターであったのかという証拠だ。彼女が投票するテネシー州は、保守的だし、彼女のルーツであるカントリーミュージックのファンは、共和党支持者が多い。ディクシー・チックスのブッシュ批判後のキャリアを見ても、テイラーが簡単に発言できなくて当たり前だと思う。
テイラーが、ここまで外部のプレッシャーに負けず、また正に”レピュテーション”(=人の噂)に押しつぶされず、自分の意見が固まるまで、発表しなかったことに尊敬する。
興味深いのは、テイラーの宿敵と言えるカニエ・ウェストは、トランプ支持を表明して、現在大反発を受けていること。木曜に、カニエはトランプに会うとも言われている。
5月に開始したテイラーのキャリア最大と言えるスタジアムツアーは、11月に日本で終了する予定だ。