グラミー賞の結果が発表された。毎年、最後にあり得ないことが起きて頭が真っ白になるグラミー賞だけど、10年に一度くらい予想通りの結果になるようだ。ホッとしている。今年は女性のグラミー賞だったのだけど、主要４部門は全て女性アーティストが取った。さらにロック部門も女性が中心。TV放送枠だけ見ると、全体的には女性アーティストと、アイコニックなアーティストが結集し、歴史的な瞬間がいくつか作られた印象となった今年のグラミー賞だった。以下速報、雑感。

全結果は以下の通り。
https://www.npr.org/2024/02/04/1228452956/here-are-the-2024-grammy-award-winners

１）主要４部門が全部女性アーティスト

アルバム賞：テイラー・スウィフト。テイラーは、これでアルバム賞を４回受賞して、史上最高にアルバム賞を受賞したアーティストになる。

ちなみにこのスピーチの中で、東京に行くことも語っていた。
「これが私の人生の最高の瞬間だと言いたいけど、だけど曲を書き終えた時もこれと同じくらい幸せだし、ブリッジが書けた時も、MVを作っている時も、ダンサーやバンドとリハーサルしている時も、または東京でショーにするために準備をしている時も、これと同じくらい幸せ。私にとっての賞というのは、仕事することであって、私がやりたいことは、私が心から愛することをやり続けること。それが幸せだから」と。

テイラーは、日本に行く直前にアルバム賞をもらって最高の気分で、今年初の『The Eras』ツアーを東京で開幕する。観に行くみなさん思い切り楽しんでください！

レコード賞：マイリー・サイラス。プレゼンターが、マーク・ロンソンと義理の母！のメリル・ストリープというこれまたアイコニックな女性が登場。

楽曲賞：ビリー・アイリッシュ

新人賞：ビクトリア・モネ


２）ロック部門も女性が圧勝
さらに、TV放送枠では発表されなかったが、ロック部門も、メタル部門以外は、全て女性。ボージーニアスが３部門で圧勝し、パラモア が２部門取った。
ボーイジーニアスが取ったのは、
ロック・パフォーマンス
ロック・ソング
オルタナ・ミュージック・アルバム

パラモアが取ったのは
ロック・アルバム
オルタナ・ミュージック・パフォーマンス

ボージーニアスが、ステージまで駆け足で向かう姿も最高にかわいかった！愛と幸せを振りまいているよな〜。

また、フォーク・アルバムは、ジョニ・ミッチェルが受賞した。

そしてリミックス賞ではウェット・レッグが受賞した。


３）プレゼンターもアイコニックな女性

さらにプレンゼンターにも、アイコニックな女性アーティストがサプライズで登場した。
最初の賞をマイリー・サイラスに授与したのは、マライア・キャリーだった。

最後の賞のアルバム賞をテイラー・スウィフトに授与したのはセリーヌ・ディオンだった。セリーヌ・ディオンは、スティッフパーソン症候群でツアーをキャンセルしたので、登場しただけで驚きだった。病気は、かなり心配だが、ステージに登場した姿を見る限りでは思いの他元気そうだった。今後も回復に向かって欲しい。


５）パフォーマンスもアイコニック
賞を幕開けしたのは、デュア・リパで、予定通り、ビリー・アイリッシュ、マイリー・サイラス、シザ、オリヴィア・ロドリゴなど今を代表するアーティストがそれぞれ圧巻のパフォーマンスを披露した。

しかし今回グラミー賞で初のパフォーマンスを披露したジョニ・ミッチェルにかなう人はいない。”Both Sides Now”で会場全体がじっと聴き入ってしまう女性が制したグラミー賞で頂点に立つパフォーマンスを見せた。ここでグラミー賞が終わりか、というくらいのまとめあげ方ですらあった。

さらにビリー・ジョエルも、22年ぶりのパフォーマンスで新曲”Turn the Lights Back On”を演奏。昔のヒット曲もやると言っていたのに、と思っていたら、アルバム賞が発表された後の祝祭ムードを盛り上げるように、”You May Be Right”を演奏した。

アイコニックという意味では、始まりの方で、トレイシー・チャップマンが去年ルーク・コムズがカバーしてチャートの2位となった”Fast Car”を共演した時は、目がうるっときてしまった。会場の拍手にも尊敬が伝わる熱いものがあった。

また、スティーヴィー・ワンダーが追悼の場面で、トニー・ベネットの映像と”For Once in My Life”をデュエット。シネイド・オコナーの追悼は、アニー・レノックスとウェンディ＆リサで”Nothing Compares 2 U”。ティナ・ターナーの追悼は、ファンテイジアだった。彼女は『カラー・パープル』で主演しているため、プロデューサーでもあるオプラ・ウィンフリーというこれまたアイコニックな女性が登場して紹介した。


６）アフリカン・パフォーマンス部門
今年からアフリカン・パフォーマンス部門ができて、ナイジェリア出身の大スター、バーナ・ボーイが21サヴェージとブランディと共演した。


７）JAY-Zのスピーチに感動。
今年は主要４部門を女性が制覇したが、JAY-Zがしかし忘れてはいけないことをしっかりと告げた。彼はDr. ドレー・グローバル・インパクト賞を受賞したのだけど、その中で、ビヨンセはこれまでに最多ノミネートされているけど、アルバム賞を取ったことがないのは、おかしいと指摘した。

これまでも、黒人のアーティストがノミネートされなかったり、受賞しないことでボイコットなどを繰り返してきたと語り、その後で、「言いたいのは、（グラミー賞に）正しいことをやって欲しいということ。俺たちはみんなを愛しているいるからこそ、正しいことをやって欲しいんだ。または少なくともそれに近づいて欲しい。もちろん（賞というのは）主観が入るものであり、音楽なのだからそれは当然だと思うけど（と言ったところでビヨンセを見て）あの女性を動揺させないで欲しいんだ。彼女は他の誰よりもグラミー賞にノミネートされているのに、アルバム賞を受賞したことがないんだ。独自の指標に従ったとしても、それがおかしいのは分かると思う。考えてみて欲しい。これまで最多グラミー賞ノミネーションで、アルバム賞を一度も取ってないんだよ。おかしいよね」と言ってから、「俺はナーバスになると真実を言ってしまうんだ」と付け足した。

ただ、「それでも、やり続けることが大事」と言っていたのがさすがだ。

ちなみに、ビヨンセのことを言っていたけど、JAY-Zだってアルバム賞は取っていないのだ。普通に考えておかしい。

今回のグラミー賞は、グラミー賞が自分たちの権力を見せつけるかのごとく意味不明なアーティストが取るということがなかった。2018年にグラミー賞の元会長にして、現在セクハラで訴えられている人物が、女性のノミネートが少ないことを抗議した際に、「女性はもっと頑張れ」という発言をしてから、大きく前に進んだと言える。

しかし、それでも、まだ平等でないことは明らかだ。例えば、シザは最多ノミネートされたのに、主要部門を取っていない。JAY-Zのスピーチはだから忘れてはいけない大事なことだ。こういう祝祭の場で、前進もあり、しかし欠点をしっかりと語れる人がいるのは、アメリカのエンターテインメントの素晴らしいところでもあると思う。隣に娘のブルー・アイビーがいたけど、彼女を見ていると彼女が大人になった時には同様のことを感じませんようにと思わずにいられなかった。


８）テイラー・スウィフトが新作発表！
大どんでん返し的な驚きの結果はとりあえずはなかったけど、一番驚いたのは、テイラー・スウィフトがなんと新作を４月19日に発表すると受賞スピーチで語ったこと。

ポップ・ボーカル・アルバムを受賞した時に、「ラッキーナンバーの13個目の受賞」と言った後、「ファンにありがとうと言いたいので、この2年間秘密にしていたことを教えます。私の新作が４月19日に発売されます。『The Tortured Poets Department』です」と。

彼女はソーシャルのサイトを今日の朝から変えたりしていたので、みんな間違いなく、『レピュテーション』のテイラーズ・ヴァージョンが出るのだと思っていた。まさか新作があるとは！ これは超驚きだ！ 直訳すると「苦しむ詩人たちの部」なので、苦悩する姿が描かれているのかも？ またはジョニ・ミッチェル的なアルバムをとうとう作ったのでは、とすでに期待している人達も多い。

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取り急ぎの雑感を書いたけど、すでに盛りだくさん。急いで書いたので忘れていることもあると思うけど。
日本は今日の夜、WOWOWで再放送します。まだ見てない人はお楽しみに！
https://www.wowow.co.jp/music/grammy/

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