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    サマソニ出演The 1975がやはり最高! 最新セットリスト+映像+ケイシー・マスグレイヴス、フローレンスなど女性がロックだったNYフェスDAY2

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    少し時間が空いてしまったけど、前回に続きNYフェス、「The Governors Ball Music Festival」のご報告。2日目は、フローレンス・アンド・ザ・マシーンがヘッドライナーだったこととも関係していると思うけど、サンフラワー・ビーン、U.S. Girls、Clairo、ケイシー・マスグレイヴス、キング・プリンセスなどロックな女性がひとつテーマとなっていたと思う。

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    また、2日目は6月1日に開催、これはLGBTQのプライド月間が開始した日でもある。ケイシー・マスグレイヴスなど出演者達がコミュニティをサポートする発言をしていたし、会場のいたるところでもそれがテーマとなっていた。

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    しかし、この日最も感動したのは、サマソニにも出演するThe 1975だった。以下簡単にレポート。

    1) The 1975
    「君達はカルチャー的に今最も重要な瞬間に立ち会っているんだ」と発言し1曲目“Give Yourself A Try”から開始。2日目メインステージのトリ前という一番おいしい時間帯で、その発言に負けない堂々のライブをやってのけた。

    ピュアに楽しいダンスモーメントとなった2曲目の“TOOTIMETOOTIMETOOTIME”。映像はこちら。


    かと思えば、「今ロックスターであることは本当に難しい。自分をどれだけシリアスに受け止めればいいのかよく分からないから。それに君達が僕をどれだけシリアスに受け取るべきなのかも分からない」と冗談ような本当のような現代のロックスターの悩みを打ち明け、それについて歌ったと言える“Love Me”に続く。

    「これは君達について歌った歌だ」とスローに聴かせる“ I Couldn't Be More In Love”を披露し、あまりにエモーショナルで心に突き刺さった“I Like American & America Likes Me”が続く。彼も感極まって観客席に飛び込んでいた。

    さらに最高に盛り上がった“Love It If We Made It”では、トランプ時代のアメリカ、世界の混乱の中からいかに愛を見出していくのかが歌われているが、「社会は、女性が権力を持つことを基盤に成り立つべきなんだ。今流行しているから言ってるんじゃない。それは必要不可欠だ」と語っていた。

    そこから、終わりに向けて怒濤の選曲。「この曲なしでは今の僕らはなかった」と語った“Chocolate”から、「アー・ユー・ファキング・レディ? この曲は何についてか分かってるよね」とギターをかき鳴らしながら歌った“Sex”。そして最後の曲では、「この曲では全員にジャンプして欲しい。ブルックリンまで飛んで行って欲しい」と“The Sound”。そこで、彼が「もっと!もっと!もっと!」と言い続け、最後に「ラブ・ユー、グッドナイト!」と去ったのだけど、彼のエモーションと渇望がさらけ出された感動的な終わり方だった。

    UKバンドの中でも最初からアメリカで人気のあった彼ら。この日のメインステージも、とにかく最後から最後まで大合唱とダンス。75分間のライブはあっと言う間に終わってしまった。彼が冗談にように「今のロックスターは大変だ」と言ったが、その隅々から彼らが偶然このアメリカで成功しているのではないのが分かった。曲は楽しくダンスできるものもあれば、ギターをかき鳴らすロックもある。彼が曲で歌っているように情報過多な世界にいて、様々なサウンドを鳴らしながらも、しかしその中で、自分の喜びや苦しみを可能な限りリアルに表現し、観客との真の結び付きを持つことを目標にしている。そんなリアルな曲を素晴らしいバランス感覚で披露していく彼の頭の良さを感じたが、しかし最終的には、それをフェスという彼らのファンだけがいる場所ではないところで、大エンターテイメントにしてみせ、会場を一体にしたところに感動した。またマット・ヒーリーのカリスマ性がやはり凄い。自分のカッコ良さを使う術を100%心得ていると思えるのが憎いのだ。それをなんとか隠そうとするジュリアン・カサブランカスとは対照的だ。

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    以下この日のセットリスト。
    Give Yourself A Try
    TOOTIMETOOTIMETOOTIME
    She's American
    Sincerity Is Scary
    It's Not Living
    A Change of Heart
    Love Me
    I Couldn't Be More In Love
    Robbers
    I Like America & America Likes Me
    Somebody Else
    I Always Wanna Die
    Love It If We Made It
    Chocolate
    Sex
    The Sound

    またこの日楽屋で行なわれたインタビュー映像もポストされている。


    以下要約
    ●5月31日に発売すると言っていたシングルについて
    「あの時はシングルを5月31日に出して、アルバムを出そうと思っていたんだけど、今は8月に発表しようとしている」

    ●噂になっているフェスを主催することについて
    「僕のレーベルにはコミュニティがあるから、そのカルチャーを祝福したいと思っている。だから来年にはフェスをやりたいと本当に思っている」

    ●アラバマ州のフェスで中絶禁止法に反発する発言をしたことについて
    「それが起きている最中にアラバマにいたんだよ。それで社会が崩壊している時って、アーティストが何を言うのかって待っている人達がいるように思う。ただ、僕はアラバマにいたわけだから、発言するのは少し怖かった。でも音楽フェスだから、左よりの観客が多いとも思った。最終的には、そういう概念には賛同できないし、僕を観ている人達がいることを思うと、自分が信じるもののために立ち上がるのはすごく大事なことだと思ったんだ」

    ● The Japanese Houseとのコラボについて
    「絶対にやるつもりだよ」

    とのこと。サマソニのライブは必見です!

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    2)ロックな女性達
    ロックな女性達ってまとめ方もダサいけど、マット・ヒーリーが中絶禁止法に反対の意を表しているように現在の政権になってから女性の権利が奪われているので女性達の反発の声のほうがリアリティがあるのは事実。またこの日は3日間の中で最も若い女子が多い日だった。

    サンフラワー・ビーンのJuliaは、コートニー・ラヴを彷彿とさせるような衣装で、ギターをかき鳴らしていた。 U.S.Girlsもかなり政治的なメッセージを彼女達なりのポップソングにしていたのが印象的だった。Clairoはその逆で、どこまでも緩く穏やかな場所からキュートとすら言える彼女なりの DIYポップソングを発していた。それをメインステージでやってしまうところがまた凄い。

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    そしてそのクイーンと言えるのがフローレンス・アンド・ザ・マシーン。女神のような衣装といつものように裸足で登場。「一緒にダンスしたい?」と呼びかけていたが、彼女が言う前からすでに観客はダンスと合唱モード。途中で、「私はシャイで、でも過剰なの。だからみんなの前で話すのは得意じゃない。意味不明よね」と語っていたが、だから面と向かって語れないことを曲に託し、人とコミュニケーションしようとしているのだと言わんばかりで、この日の彼女のボーカルは、いつも以上に魂の叫びかのように鳴り響いていた。またそれを唱えながら踊り明かす特別な儀式のようでもあった。2015年に出演した際は、メインステージでヘッドライナーのドレイクの前でありながらも、観客の盛り上がりで言ったらドレイク顔負けだったフローレンス。今年は堂々メインステージのヘッドライナーを飾っていた。

    途中で、「フェスのチケットが高いのは知っているから、これ以上のお願いをする立場にないのはすごく分かっているんだけど、時間があったらぜひマーチを見てみて」と語った。「アメリカの女性達はもっと権利を得るべきだと思うから」と。Tシャツの売り上げは、ACLU(アメリカ自由人権協会)に寄付されると。

    またそれにも通じると思うが、『ゲーム・オブ・スローンズ』の最終シーズンに使われたフローレンスの“Jenny of Oldstones”を番組のヒロイン、アリア・スタークに捧げて喝采されていた。 “The End Of Love”では、観客の中に降りて来て、「闇に手が届きそうになっていた/NYのあの夏」と歌ったところで、観客がフローレンスに本当に手を伸ばしていたのがマジカルとすら思える瞬間だった。

    「この10年間本当にありがとう。私は歌がなかったら、闇に閉じこもったままで、飲んだくれになっていたと思う」と語っていたが、そんな危うさを常に見せながらも、ソウルともフォークともロックンロールとも言えるポップソングに託し、彼女を救った歌で私達をも救っていた。夜空にその声が響き渡る美しい2日目の終わりだった。

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    3)LGBTQテーマ
    会場のあちらこちらでも見られた LGBTQテーマ。クイアを公言しているキング・プリンセスは、ゲイの女子のみならず、ゲイの男子にも、もちろんストレートの人達にも人気。彼女について行きたいと思わせるリーダー的なアーティストだからだと思う。NYヤンキースのユニフォームを着て、「ここは私のホームタウン!こんな大きな会場で演奏するのは初めて」とNYブルックリン育ちの彼女は言っていたが、“1950”から“Talia”などのヒット曲から、新曲の“Cheap Queen”まで、リアルなエッジのあるポップ、ロックな曲と彼女のカリスマ性を再確認して、これからまだまだ大きくなっていくはずだと思った。「ゲイの人達が来てくれているのが分かる。今月は私達の月だから。私達が輝く月だから!」と締めくくっていた。

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    また、この日ピンクのカーボーイハットをかぶったケイシー・マスグレイヴスのファンが多数集まっていた。カントリー・ミュージックをベースにしながらも、“Follow Your Arrow”でゲイを支持する曲を歌い、カントリーラジオにかけてもらえないという異端児でありながらも、自ら道を切り開いてグラミー賞まで授賞した新世代。

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    ディスコな曲“High Horse”では会場を踊らせ、「今日はプライド月間の始まりよね。ファックイエー! でも毎月プライドマンスであるべきなのよ」と語り“Rainbow”を歌い、レインボウの旗をなびかせていた。“Love Is A Wild Thing”では、「今世の中には醜いものが氾濫している。私達はどこか気が狂ってしまったように思う。そして、その道のりにはまだ亀裂があるかもしれないけど、でも絶対に私達は愛にたどり着くはずだから。私達はみんな愛を受け取る権利があるから」と結局、すべては大丈夫だから、と言わんばかりの暖かさで会場を包み込んだのが、彼女の素晴らしさだった。

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    4)フジロック出演のVince Staples
    実はThe 1975とまったく重なっていたため、泣く泣く諦めたVince Staples。ここ数年単独でのライブも含め何度も彼のライブは観て来たがいつ観ても社会派で鋭く、自信に溢れながらも、クールなステージが独自でカッコ良い。その世界に引き込まれてしまう。去年発売された最新作の『FM!』も絶賛されていたが、毎作ごとにスタイルを変えながらも、出身西海岸のGファンクとブラック・コミュニティのバイオレンスを描く歌詞を絶妙なバランスでキャッチーな夏のセレブレーションにしていた。

    この日のライブも絶賛されていて、 Varietyによるとしかし白人キッズが多かったため、「俺は警官からいつも逃げまくっていた。まあ君達にはそんな経験はないと思うけどね」と言ったり、「君達はみんなキュートだなあ」と言ったりしていたそう。インタビューなどでもよく見られる彼の批判性があり鋭く笑える人柄も見えていたよう。フジロックでも必見だ!
    https://variety.com/2019/music/reviews/nas-florence-the-machine-vince-staples-rocked-governors-ball-before-the-deluge-1203231458/

    セットリストは以下の通り。
    Lift Me Up
    745
    Big Fish
    Senorita
    Blue Suede
    Norf Norf
    Get the Fuck Off My Dick

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