ビリー・アイリッシュが、3月に開始し3公演のみ行なった後に延期になったワールド・ツアー、公演中に流す映像を公開した。こちら。
ビリーは、「NOT MY RESPONSIBILITYというタイトルのショートフィルムで、元々ツアーで観てもらうために作ったもの」とコメントしている。
最新ツアーのセットリストによると、全4幕に分かれているライブの第4章の冒頭で流れる映像だ。これはツアーが始まった時にすぐに話題となっていたが、それは、いつもバギーな服を着ている彼女が、タンクトップになり、さらに下着姿になるという衝撃的と言える内容だからだ。しかもここで発しているメッセージが強烈でもあるからだ。
それについては、最新号のCUTでも書いたのだけど、ここで彼女が言っているのは以下の通りだ。
私のこと知ってるの?
本当に知ってるの?
あなたは意見があるようだけど
私の意見に対して
私の音楽に対して
私の服に対して
私の体に対して
私の服が嫌いな人もいるし
私の服を褒めてくれる人もいる
他の人を辱めるために使う人もいるし
私を辱めるために使う人もいる
私はあなたに見られている気がして
いつでも
見られずにできることは何もない
あなたの否定も
または安堵のため息も
それに従って生きていたら
私は動くこともできない
私がもう少し小さい方が良かった?
もっと弱い方が良かった?
柔らかい方が良かった?
背が高い方が良かった?
もっと静かな方が良かった?
私が肩を出していると刺激的?
私の胸は?
私のお腹は?
私のお尻は?
私が持って生まれた体は
あなたが欲しいものとは違っていた?
私が楽だと思うものを着たら
私は女性とは言えない?
だけど服を脱いだら
私はふしだら?
あなたは私の体を見たこともないのに
私の体を評価して
私を評価する
なぜ?
私達はそれぞれの人の体系によって
その人がどんな人なのかを想定する
その人がどんな人なのかを決める
その人がどんな価値があるのか決める
私がもっと着ていたら
私があまり着ていなかったら
誰が私が何なのかを決めるの?
そこにはどんな意味があるの?
つまり、私の価値は、
あなたの見方で決まるということ?
またはあなたの私に対する意見で?
でもそれは私の責任じゃない
彼女がここで「スラット・シェイミング」へ反発する強烈と言えるメッセージを掲げた経緯は色々ある。例えば、休暇でハワイに行って水着の写真をインスタにポストしたら、彼女曰く、「“いつもはぶかぶかな服を着てセクシャルであることを否定しているのに、こんなの着る?”っていうコメントがあった。しかも、そのポストがトレンドになっていたの。“18歳になった途端に尻軽女だ。もう嫌い”、って言うコメントもあったし。どう頑張っても勝てない」と。
つまり、この映像の中でも言ってるように、何をしても誰かが見ていて、誰かに評価されてしまう。
https://www.dazeddigital.com/music/article/~
また男友達とフェイスタイムをしていて、彼女がタンクトップを着ていたら、もっと服を着ろと言われてムカついたという話もしていた。
彼女が最も勘違いされて、いつも否定しているのは、ぶかぶかの服を着ているのは、何も露出度の高い服を着ている人の批判しているわけではないということ。
メインストリームの女性ポップスターが露出度の高い服を着る傾向がある中で、それに反発した服を着ることで、自分はルールには従わない、自分が着たい服を着ると主張していただけだ。
だからここでも、「他の人を辱めるために使う人もいるし」と言った。これはインタビューした時にもはっきりと言っていたけど、よくファンの親に、「あなたが露出度がない服を着てくれたおかげで、自分の娘が露出度の高い服を着なくなった」と褒められるけど、彼女は露出度の高い服を着ている人を批判しているわけではない。自分が心地良いと思える服なら何を着たっていいと言いたいのだ。
露出度の高い服が着たかったら着ればいいということ。この映像でも改めてそれらを主張している。
最近のビリーはこれ以外に、アップルミュージックでやっているお父さんとのラジオ番組「Me & Dad Radio」の2回目が公開。これがまたまた最高だった。“unusual”というタイトルなのは、1回目に比べると少しメインストリームではない曲が紹介されているからだ。
子供の頃にお父さんと一緒に『ツイン・ピークス』のオリジナルを見ていたんだけど、いつも怖くならないところまで見た話とか、オバマが大統領になった時に、お母さんとお兄さんのフィニアスが就任式を見に行ってしまったため、初めて長い間家族と離れて過ごすことになってすごく不安になり、その時にお父さんと2人で聴いていた曲についてとか、ドジャ・キャットの曲をスーパーの駐車場でお父さんに聴いてもらったら、お父さんが無反応だったから、好きじゃなかったと思ってがっかりして途中で消したら「なんで消すの。気に入っていたのに」と言われて体が震えるほど嬉しかった、と言っていたり。
お父さんに認めてもらえて嬉しいって、本当に音楽に関してお父さんの意見が大事だったんだなあというのがこの番組を聴いているとすごく良く分かる。だけど、お父さんは自分で何かのジャンルを拘って聴くというような、普通のリスナーじゃない、と語っていた。
それでいてお父さんとすごく平等な関係性なのでそれも本当に珍しいと思う。また、ビリーがThe 1975が大好きで、自分の中で2番目に行ったコンサートだったこと。“If I Beleive You”で歌われていることは、これまで誰も歌ったことがないことだとも言っていた。
とにかく、まだ18歳だけどいかに豊な音楽的経験をしてきたのかがすごく良く分かる。隅々まで楽しいので、ぜひ聴いてみて〜。