ロックダウン解除後初のコンサートが開催! ヤンキーススタジアムはドライブインシアターやコンサート会場に。フェスに行けるマスクも開発中

ロックダウン解除後初のコンサートが開催! ヤンキーススタジアムはドライブインシアターやコンサート会場に。フェスに行けるマスクも開発中

アメリカは50州全てにおいて、外出禁止が何らかの形で解除され始めた。それに合わせて、コンサート再開の可能性が検討されている。NYタイムズなどでも紹介されていた通り、本格的にライブやフェスが行なわれるのは来年秋以降だろうと言われているのだが、いまも安全な方法でコンサートができないかと試行錯誤がされているのだ。

1)アメリカでロックダウン解除後初のコンサートが行なわれた!

カントリーシンガーのTravis McCreadyが、アーカンソー州フォートスミスのTempleLiveという会場で5月15日にロックダウン解除後初のライブを行なうと発表。全米で話題となった。彼のバンドBishop Gunnは去年ザ・ローリング・ストーンズの前座もやったそう。以下、今回のライブの映像。

https://5newsonline.com/embeds/video~

アーティスト曰く、コロナ禍でライブに関してはネガティブなことばかりなので、「そんな中で何が安全で可能なのかを示していくのが大事だと思った。単にバーを開けて、さあパーティだ。ビールは1本1ドルだ、と言っているわけではないんだ」と語っていた。また会場のオーナーも「これが多くの人に希望を与えるはずだ。コンサートがいかに可能なのかを示す実験なんだ」と語っていた。


ローリング・ストーン誌には、このライブを安全に行なうための計画や座席表なども掲載されている。

https://www.rollingstone.com/music/~

これによると、本来1,100人のキャパの会場に229人まで収容。入り口で観客の体温を計り、会場内では接触や密な状況にならないように、一方通行の経路も設定。チケットは1グループ12枚まで買えて、1グループは別のグループとは必ず2メートル開ける。マスクも会場内では絶対に着用で、ない人のためには販売も行なっていた。トイレも1度に10人以上は入らないようにしていた。食べ物なども売っていたが、すべてあらかじめ包装されたもののみ。ハンドサニタイザーも25ヶ所に用意。外に並ぶ際も、人との感覚を空けるように、印が付けられていた。


実は開催前に州ともめたのだが、結局開催を5月18日に遅らせることで実現となった。チケット代は20ドルだったそう。

このライブは当然多くのプロモーターが注目。NYのプロモーターも、「今後大きな会場ではなくて、このくらいの会場(1,000人収容)くらいからオープンしていくと思う。なのでこれはコンサート産業にとっては良いスタートになった」とNYタイムズに語っていた。

https://www.nytimes.com/2020/05/18/arts/~

ただしこのライブのプロモーターによると、ライブのチケットはほぼ売り切れだったが、完全に赤字だったという。「これをやったのは明らかにお金のためではない」と。「現状に合わせてやるしかない。これまで通り、ギャラを払うか、または売り上げの90%をアーティストに渡すことにするか。ギャラをこれまで通り払うことにしたら、1枚のチケットを$400にしないといけなくなる」

また「今回のコンサートが、これから即全米でコンサートが再開することを意味しているわけではない。誰もが安心してライブを観られる安全の確保が何より大事だから」と、アメリカの独立系ライブハウス組合の代表者もコメントしていた。

コンサート会場はコロナ禍の中で、最初に閉鎖となり、最後までオープンできないだろうと言われている。しかし、今年中にライブが何らかの形で開催されなかったら、90%の独立系ライブハウスは、二度とオープンできないだろう、という記事もあった。


なのでアーティスト達は、政府が補助金を出すようにと、独立系ライブハウスのための署名を訴えていた。


NYタイムズは、このライブについて、ロックコンサートというよりは「小学校の発表会みたいだったと」と書いているが、TVインタビューに答えるファンは「日常を取り戻せてホッとした」とか、「車で6時間かけて観に来た。このライブに参加することで何かしらのステイトメントを掲げたいからということではまったくなくて、彼の声が素晴らしくて、彼自身が素晴らしい人だから」とコメントしていた。

2)キース・アーバンがアメリカでメジャー・アーティストとして初めてドライブインコンサートを開催。

デンマークでドライブインコンサートが行なわれたと前に紹介したが、アメリカでは、キース・アーバンがテネシー州でドライブインコンサートを行なった。これまでもいくつかドライブインコンサートは行なわれてきたが、彼がメジャー・アーティストとしては初めてとなる。


これは、事前には発表されずに医療関係者が200人招待されて行なわれたもので、無料だ。

https://www.bbc.com/news/av/entertainment~

キース・アーバンは、BBCのインタビューに答えて「ピクサー映画の『カーズ』の中にいるような気分だったよ(笑)」と語っていた。また、「人間というのは、どんな困難に直面しても、何かしらの方法を見付けて、クリエイトしていくから素晴らしいと思う」とも。ただ、このドライブインシアターのコンサートがツアーとして現実的かというと、「どんなに少人数のスタッフで行なうとしても人が集まり、移動することになるので、現状は難しいと思う」と。「ザ・ストロークスのアルバムのように『ザ・ニュー・アブノーマル』(新たな異常)な世界を生きていく覚悟をするしかない」。

アメリカではすでにいくつものドライブインコンサートが開催済みで、これからも予定されている。

https://www.billboard.com/articles/news/~

ミズーリ州では、すでに17のドライブインコンサートが予定されている。地元のアーティストなどが出演する予定だ。

https://youtu.be/Z6rCwP6DS2s

有料のライブとしては、6月にカントリーシンガーのアラン・ジャクソンが地元周辺のアラバマ州でドライブインコンサートを行なう。


チケットは車1台で2人に付き$99。1人増えるごとに$39払う。VIPパーキングは$199〜。ソーシャルディスタンスさえ守れば、車の外に座ったりするのも可能。売店もオープンしているが、オーダーはオンラインを通して行ない、オーダーしたものは車まで運んでくれる。

3)NYヤンキーススタジアムの駐車場が、この夏ドライブインシアターやコンサート会場に。

NYヤンキースのスタジアムの駐車場では、この夏7月と8月の毎週金曜日から日曜日まで、ドライブインシアターやコンサートなどの催しが行なわれる。全体として200台まで収容され、それぞれの車は、3メートル以上離れて駐車することが義務付けられている。巨大なスクリーンやコンサートステージが立てられ、観客は車のラジオから音声が聴ける。どんな作品、アーティストが出演するのかはまだ発表されていない。CNNによるとこのイベント開催を発表した途端に9,000人の人がメール登録したそうだ。ただよくよく読んでみると、ヤンキースが関わっているわけではなくて、むしろ地元の夏祭り的なものになるのではないかと予想される。とはいえNYの地元アーティストには世界的大スターが揃っているので、開始されたらどうなるか分からない。

https://www.cnn.com/2020/05/20/us/yankee-sta~

https://mailchi.mp/020fe780da53/uptowndrivein

ドライブインコンサートは各地で開催されるようで、テキサス州のスタジアムでも6月から開始される。


また、コンサートプロモーターでチケット販売もするLive Nationは、世界各地で、ドライブインコンサートも含め、どのようにコンサートが安全に行なえるのか徐々にテストしていく、とローリングストーン誌で語っている。恐らく、フィンランドや香港などアジアから開始できるのではと。すでに各国でどのように再開するのか予定も立ててあるそうだ。

https://www.rollingstone.com/pro/news/~

この記事によるとLive Nationは、今年の第一四半期で利益が21%減少したそう。また子会社でありチケット販売をするチケットマスターは、去年の同じ頃と比べて48%減少したそうだ。

ちなみに、野球、バスケ、アイスホッケーは、7月か8月に観客なしで再開すると言われている。


4)これがあれば安心してフェスに参加できるマスク!

個人的にはこれが最高だと思ったのだけど、ダフトパンクみたいなマスクを、LAのコンサートで照明やセットなどを手がける会社が開発している。


開発者によれば、「僕らの産業が死にかけていて助けを求めているのを目の当たりにして、これからしばらくライブは何年も行なわれないと言われているので、僕らは、安全にライブに参加できる何かを開発できるはずだと思った」ことがきっかけだったそうだ。

これはMicrashellという名前で、ソーシャルディスタンシングの世の中でいかにして安全に人と近距離でコミュニケーションができ、ナイトライフ、ライブイベント、エンターテイメントに参加できるのかを考えて作られている。

会社の説明によるとこれは、ウィルスを遮断し、使うのは簡単、着るのが楽しくて、これを通して感染もしない、個人防護具となり、距離を置かずして、人とコミュニケーションが取れる。また水などもヘルメットを外さないで飲めるようになっている。さらに全身スーツにしなかったのは、「トイレに行くのがそれだと大変だから。それから、もしセックスをするようなことになったらちゃんとできるようにしておきたかった」と言っていてそれはちょっと笑った。

UHMWPEという素材が使われていて、軽くて耐久性もよく当然風通しも良いということ。詳しい説明はこちら。

https://production.club/micrashell

これがいつできるのか分からないし、すごく高そうなので、個人的にはとりあえずDEVOのPPEキットをかぶりたいと思う。

https://www.impactmerch.com/retail/produc~
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