今年の米大統領選は郵便による投票が多く、その集計が終わっていないのでどちらが勝つのかまだ分からない接戦が繰り広げられている。予想されていた通り投票当日は現大統領が有利で、郵便による事前投票を数え始めた後半で、ジョー・バイデンが票を獲得している。
そんな生きた心地のしない最中に、我らがアーケイド・ファイアが選挙速報番組に出演。新曲を披露した。
“Generation A”と題された新曲はこちら。
番組のホストのスティーブン・コルベアは「今のこの国の状況に影響され、若者達へ希望のあるメッセージを描いた曲」と紹介。
最初に子供が出て来て「僕らはジェネレーションAだ。僕らはもう待てない!」と宣言して始まる。彼はウィン・バトラーとレジーヌ・シャサーニュの息子さんかもしれない。
現在テキサス州で新作をレコーディングしているというのが反映されたような、『ザ・サバーブス』を彷彿とさせるような歌詞だ。この曲が新作に収録されるのかどうかはいまいち分らないが、「僕らはもう待てない!」と連呼される曲で、歌詞は以下のような内容だ。
みんなは待てと言うけど
時代は変わると言うけど
明日まで待てと言うけど
昨日はいつだって奇妙だ
大人になるまで待てと言うけど
そうすれば分かると
君達の時代が来るからと
だけど、僕はそんなに我慢強くない
僕は待てない
僕は待てない
こんな少しで こんなに待たされて
こんな少しで こんなに待たされて
準備ができるまで待てと言うけど
番号が呼ばれるまで待てと言うけど
『待って、大事なのは愛だから』と言うけど
でも、ダーリン、カリフォルニアが燃えてるいる
ニューオーリンズには洪水がくる
さらに続けて以下のようなことにも触れている。
人種差別主義者が大統領であること
街が燃えていること
そんな中で、子供達に教わることがある、など。
そういう「新世代A」が誕生していると言っているのだ。
ものすごく彼ららしい曲だ。
また、今回の選挙は接戦のため、どのメディアを見ても、「不安」とか「ストレス」という言葉が飛び交っているが、アーケイド・ファイアは列で待っている間、または結果を待っている間に聴くためのプレイリストをSpotifyで発表していた。
これが実際今の特別感と、リラックスして待つようにという感じが絶妙にミックスされた素晴らしいプレイリストだった。おすすめ。
新世代のその他の情報と言えば、今回の大統領選で、29歳以下の62%がバイデンに投票した。これはすべての年齢層のなかで圧倒的に高かった。
https://www.nytimes.com/interactive/2020/11/03/us/elections/exit-polls-president.html
彼らにとって投票する際の最も大事な理由が、1位地球温暖化対策、2位は人種差別だった。それと関係しているかもしれない。アメリカは正にこの最中にパリ協定(地球温暖化対策に向けた国際的枠組み)から脱退している。
またフロリダ州の大学キャンパスの投票所では、なんと投票のために登録した人の100%が実際に投票した、という若者の意欲の高さもレポートされている。素晴らしい!
全体としても、今年はなんと1900年以来の投票率の高さだった。「歴史上最も重要な選挙」とみんなが言い続けたのが伝わったのかもしれない。
さらに、アーケイド・ファイアが、ジャスティン・ヴァーノンの運動に協力してウィスコンシン州に投票を呼びかけたが、その甲斐あって……とまでは言わないが、それが少し手助けとなり、なんと、前回ヒラリー・クリントンが負けたウィスコンシン州を2万票差でバイデンが奪回した! バイデンの大統領への道を繋いだ最も重要な州だった。こういう地道な活動が重要な結果に結びついたのも嬉しい。
現時点では大統領選の結果はまだ分からないが、昨日の夜は真っ暗だったのが、今日は希望の光が見えてきた。郵便投票した若者達のおかげでもある!
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