「コンサートを続けるために正しい決断」とコーチェラを主催する米大手プロモーターが、彼らの主催するフェス、コンサートはワクチン接種者のみが入場可と発表&ロラパルーザでスーパースプレッダーはいなかったと報告

「コンサートを続けるために正しい決断」とコーチェラを主催する米大手プロモーターが、彼らの主催するフェス、コンサートはワクチン接種者のみが入場可と発表&ロラパルーザでスーパースプレッダーはいなかったと報告

昨日お伝えしたばかりの米フェス、ライブ事情だが、ものすごい勢いで状況が変わっている。もちろん、人々の命に関わる問題だからだが、コンサート産業の命にも関わる問題だからだと思う。ここでクラスターなどが出て、再び1年間コンサートがキャンセルになるようなことにならないように、先手で対処しているのだと思う。

先ほど、コーチェラなどを運営するアメリカの大手プロモーター AEG Presentsが、彼らの主催するフェスやコンサート会場には、ワクチン接種者のみが入場可と発表した。10月1日以降は、会場に入るためには、観客もスタッフも、全員ワクチン接種が義務付けられる。ただし、法律でそれが制限されている場合は除く。10月1日までは、ワクチン接種済みの証明書か、イベント開催前72時間以内に検査を受けて陰性であれば入場可だ。


ワクチン接種を義務付けることには、賛否両論があるため、これは大きな決断だと思うのだが、彼らの声明文には「劇的な決断だが、正しい決断だ」と書かれている。

以下要約。

「AEG Presentsは、我々が経営、運営する、クラブや、劇場、フェスティバルへの入場を、ワクチン接種者のみとする。

この決断は、アメリカにおけるデルタ変種株の急激な拡大を見て下したものだ。

AEGが経営する、またはパートナーである会場やフェスは以下の通り。ライブ会場は、NYのWebster Hall, Brookly Steel, LAのThe Roxy, El Rey Theater, ラスベガスのThe Theater at Resorts World Las Vegasなど。フェスは、Firely Music Festival, Day N Vegas, The New Orleans Jazz & Heritage Festival, コーチェラなどだ。

ワクチン接種のポリシーは、法律で決められている場合を除いて、2021年10月1日から施行される。この日から開始するのは、現時点でワクチンを接種していないスタッフやチケット購入者が、もしワクチン接種をすることを選んだ場合は、2回のワクチン接種をする時間を要するためだ。10月1日までは、ワクチン接種済みの証明書か、ライブ開催までの72時間以内に検査を受けて陰性だったら入場可能だ」

さらに「我々は音楽コンサート業界のリーダーとしてこの決断を下した。なぜなら、ワクチン接種の状況に関して立場を表明するのは我々次第であると思ったからだ」とAEGのCOOは答えている。

「わずか数週間前に、我々は、コンサートビジネスと、この国が向かっている方向に対して希望を持っていた。しかし、デルタ変種株とワクチン接種を躊躇する人たちによって、再び我々は間違った方向に向かいそうになっている。今回の決断を劇的な決断だと思う人もいると思う。しかし、これは正しい決断なのだ。さらに当初は、反発があるだろうことも心得ている。しかし、最終的には、歴史的に振り返った時に我々は正しい場所にいること、そして、アーティストと、ファンと、コンサートで働く人たちにとっても最善のことをしているという自信と希望を持っている」


「州の規定によっては我々の規則が、受け入れられない場所もあるかもしれないし、アーティストによっては、すぐに我々の義務化に賛同してくれないこともあるかもしれない。しかしそれでも我々の強靭なプラットフォームを使い、ワクチン接種に関する強固な態度を取ることで、大きな影響を与えると思っている。

我々がここで送りたいメッセージは、シンプルで明瞭だ。可能な限り安全である唯一の方法は、全員がワクチン接種をすること、である。

まだこれに完全に賛同してくれていない人たちも必ず、我々の先導に続いてくれると思っている」


ワクチン接種のポリシーは、期限を決めずに実施し、感染率や、変種株の発展、自治体、州などの規則によっても変更、変動する。

「我々の希望は、先手で行動することで、人々が正しいことをし、ワクチン接種をしようと思ってくれることだ。我々はすでにジャズ・フェスについて悪いニュースを発表しなくてはいけなかった。

再びコンサートがなくなるような事態にはしたない、ということには誰もが同意してくれると思う。つまり、これがコンサートをやり続けるための最善の策なのだ」


https://www.aegpresents.com/health-policy/

ちなみに、もうひとつの大手プロモーターであるLive Nationは現時点では、アーティスト次第であると発表している。マルーン5や、デッド&カンパニーは、Live Nationでツアーしている。

さらに今日発表された大事なニュース。ロラパルーザの開始からちょうど2週間経過したので、シカゴ市の衛生局が発表した。ロラパルーザに行ってコロナが陽性となった人は、203人だったということ。ロラパルーザには1日約10万人。4日間で、公式には、38万5千人が参加したので、市は、ロラパルーザへの参加者がスーパースプレッダーとなった証拠はないと結論を出している。
https://thehill.com/homenews/state-watch/567620-no-evidence-lollapalooza-was-a-super-spreader-event-chicago-official

これは一応良いニュースだ。ロラパルーザは、ワクチン接種か、72時間以内の検査結果陰性でなくては入場できなかった。ロラパルーザによると、90%がワクチン接種していたということ。

つまり、AEGの定める規定はこれがさらに厳しくなるものなので、よりクラスターは起きにくい、ということだと思う。



『ロッキング・オン』最新号のご購入は、以下のリンク先より。

「コンサートを続けるために正しい決断」とコーチェラを主催する米大手プロモーターが、彼らの主催するフェス、コンサートはワクチン接種者のみが入場可と発表&ロラパルーザでスーパースプレッダーはいなかったと報告 - 『rockin'on』2021年9月号『rockin'on』2021年9月号

中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする