ホワキンがラッパーの偽ドキュメンタリーは面白い&次回作はレオと同性愛FBI!?@TIFFその12

ホワキンがラッパーの偽ドキュメンタリーは面白い&次回作はレオと同性愛FBI!?@TIFFその12

ホワキン・フェニックスが、2年前に俳優を引退してラッパーになる宣言をしたのって、日本では話題になっていたのでしょうか?

アメリカではみんな目が点の大騒ぎだったのですが。夜のトークショー、デヴィッド・レターマンショーに、ひげぼーぼーで出演。ガムをテーブルの下に貼付けたりして、ほとんど話さなかったのに、レターマンの天才ぶりもあり、最高に面白くて、それで一気に「ラッパー、ホワキン」が全国区の注目(&笑い)を集めてしまっりしたのです。

その一部始終が記録された”ドキュメンタリー”、”I'M STILL HERE" をトロント映画祭で観て、唖然。映画が終わった後に最初で出て来たクレジットが、「WRITTEN & PRODUCED BY ホワキン・フェニックス&ケーシー・アフレック」だったから。つまり、これ脚本があった、ということ!

というわけで、国民全員が「どっきりカメラ」状態だったというわけですが、しかし、実はこの作品すごく面白く、賢い内容だったのです。

つまり、今アメリカで大人気の”リアリティ”TVのあり方とか、”セレブ”がいかに作られ消費されるのかということに対して何となくのステイトメントを掲げながら、上手く遊んでいるのです。さらにこの素晴らしいところは、ホワキンなら、突然切れてラッパーなんて最もあり得ないことをやりかねないという危うい要素を秘めているということ。アカデミー賞に2回もノミネートされいてる才能を持ちながらも、『ウォーク・ザ・ライン』の後、リハビリに入ったり、自動車事故を起こしたりしていたので。かつての彼女だったリヴ・タイラーも別れた後に、「彼は繊細すぎた」と発言していたし。振り返ってみれば、『ウォーク・ザ・ライン』の後、頂点を極めて、どどーっと押しつぶされるのが怖かったのかも。だからこんな息抜きをやったのかもなどとも思ったりしたし。

もっと言えば、フェニックス家の一番有名なリバーが、世界のアイドルになり、ドラッグODで亡くなったこと、つまり”セレブ”文化の犠牲者のひとりなのではという思いや、彼らが子供の頃から、ショービズの世界に入ったという背景なども観ていて、うっすらと思い浮かんでくるので、それがさらにこの映画に”リアリティ”を持たせるのです。ちなみに、彼らが南米で暮らしていた頃というのは、ガールズのクリストファー同様、Childeren of Godに親が入っていたから。のちに脱退してアメリカに帰って来たんですが。

などなどを、あくまでこの一見くだらないウソドキュメンタリーの中で、なんとなく描いてみせたところが実はすごい。そのまとめ方も上手くて、初監督のケーシー・アフレックは絶対に才能があると思う。兄ちゃんも監督できるし、アフレック家もすごい。

中で、ディディ?P. ディディ(今の呼び方は何だ?)が出てくるシーンがあるんですが、彼の”演技”も素晴らしいのです。

それで大注目の中、昨日のレターマンに、ホワキンがひげを剃ってぴしっとスーツで出て来たんですが、現時点ではあの切れちゃったホワキンがあまりにリアルだったから、素で出てこられても、そっちのほうがリアリティがない、という不思議な感じ。それだけ”はまり役”だったというわけですが。

そして現在、なんとクリント・イーストウッドが次回作で彼を起用したいと熱望しているとのこと。これで”俳優”としてのキャリアも即カムバック。彼がオファーを受けるかどうかはまだわかりませんが、この作品はすごい。FBIの元長官で、敏腕&コントラバーシャルだったジョン・エドガー・フーヴァーを描いた伝記。で、脚本を書いたのが、ショーン・ペン主演の『ミルク』でアカデミー賞を受賞したダスティン・ランス・ブラックなのです!!

彼は、敏腕FBIでありながら、ゲイだったという噂が耐えなかった人。FBI内の同性愛者を解雇したりしてたのに。ダスティンが脚本を書いたという時点で明らかですが、つまりこの作品はその”闇”に焦点が当てられているはず。それでその恋人とされていた、同じくFBIのクライド・トルソンを今回ホワキンに演じて欲しいとイーストウッドが言っているのです。さらに!フーバーは、レオナルド・ディカプリオに。これは最高でしょう。観る前から全員にアカデミー賞渡したいくらい。すでに、ダスティンはレオがオファーを受けたと発言していたりしますが、まだ公式には発表されていないはず。どうかふたりともこの役を引き受けるガッツがありますように。とりわけ、レオは。彼が演じるもっとも危険な役だと思うし。思いっきり演じて欲しい。

あ、ダスティンと言えば、ついでに。彼の初監督作もトロントで観ましたが、期待していたのにこれは残念なことに相当酷かった……。

”I'M STILL HERE"は、すでにアメリカで一般公開され、限定上映ながら非常にいい興行成績をあげています。個人的に唯一にして最大の問題点は、つまり”リアリティ”TVがこれだけ氾濫している中で、”リアリティ”ドキュメントを観に映画館に行って、12ドル払うか?というところが微妙なところ……。映画のポスターはとりあえずすごくかっこいいです。
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