大使に任命されるまでもなく、アナログ盤レコードの売り上げには人一倍勢力を傾けてきたジャック・ホワイトですが、今年のレコード・ストア・デイの大使に正式に任命されました。そしてその声明文と映像が公開されたのですが、当然のごとく熱いっす。
映像は、ナッシュビルのレコード生産工場を訪れるジャック。ところどころ聴こえないのはわざとです。
http://www.recordstoreday.com/NewsItem/3405
そして以下はジャックの声明文訳です。
「これは何年か前に、誰かに聞いた話なんだけど、1200の高校でアンケートと取って、”小売り店のレコード屋さんに行ったことがあるか?”と訊いたところ、『ある』と答えた人がなんと……ゼロだったそうだ。
ゼロ、って?
どうしたらあり得るんだ?って思ったんだけど、でも、冷静になって考えてみると、『彼らを責めることはできない』と思った。そもそもレコード屋さんが、NetFlixとかTiVoとか終わらせるのに数ヶ月もかかるビデオゲームとか、ケーブルとか、テキストメッセージとか、インターネット、などなどと、競えるのか?ってね。
部屋から出て、リアルな世界で何かを実際体験をするというのは、むしろ稀なことになってきているわけだから。それどころか、多くの人にとっては、必要のないことにすらなってきている。例えば、簡単にダウンロードできるのに、わざわざ本屋さんに行ってなぜ実際本を買わなくちゃいけないかってね。本当の人間と話して、別の作家について話したり、作風だとか、影響なんかについて話す必要がなぜあるのか、ってね。マウスをクリックするだけで済むわけだからさ。
まあ確かにそうなんだけど、でも、みんなに、ソウルってものがあったなら、きっといつか分かる時が来ると思うよ。
マウスをクリックすることには、ロマンスなんてものは存在しないということ。
そして、ビデオゲームを何時間もやったってそこには美なんて存在しないこと(それを誇りに思っている人は、今すぐこれを読むのを止めて、将来の話し合いのために君の意見をポストしてくれればいい)。
iPhoneのスクリーンが便利なことは認める。だけど、70mmの映画を美しい劇場で観るのとはやっぱり比べものにならない。インターネットは二次元であり……確かに便利だし、エンターテイニングですらあると言える。だけど、人間と顔を顔を合わせてやり取りすることの代わりにはならない。っていうか、みんなそんなことは分かってるんだよね? 分かってるんだよね? 恐らく分かってるんだけど、でも、ってことだと思うんだ。
だから、みんなでみんなの目を覚ますんだ。
それに、世界というのは、だからって動きを止めてしまったわけじゃない。世の中には、いまだに人と人が顔を合わせ、アイディアを交換して、お互い影響し合ったりするということが行われている。単館の劇場はいまだに映画を見せてるし、人はカフェでコーヒーを飲んでいるし、空想の物語を語り合っているし、女と男は混乱し合っているし、そしてレコード屋さんは、まだ君たちが聴いたこともないようなソウルが一杯詰まったレコードを売っているんだ。
それなのに、僕らはなぜ部屋にこもってその他のことを代わりにしているのか? 本当はそうじゃないと分かっているのに。少なくとも分かってはいるはずなのに。だから、僕らは今自分達で再び人間同士のやり取りについて学び直す必要があると思うんだ。コンピューターで1曲をダウンロードすることと、人と話したことによって音楽を知り、それを実際自分の手に取ることができて、人に分かち合うことができるということには違いがあるということを。そして、アナログ・レコードの大きさとか、形とか、匂いとか、感触とか、音がどんなもので、それがマウスをクリックするだけの経験よりも、いかに美しい経験なのかをティーネージャーに説明しなくちゃいけない。
だからそのために君たちが実際に立ち上がってやらなくちゃいけない。彼らの腕を掴んで、そこに連れて行くんだ。君が彼らの手にレコードを渡して、そして、レコードに針を落としてもらうんだ。そうすれば、彼らにも絶対分かるはずだから。
みんなでみんなの目を覚ますんだ。
2013年のレコード・ストア・デイの大使として、僕は、レコード屋さんを実際に訪れることには、美とロマンスが存在するということと、そこで興奮するような新しいアイディアを見付けることができるだ、ということを広めるためだったら、誇りを持って何でもやるよ。だって、そうすることが、人や、アートや、究極的には自分自身を見つめる方法を変えることになるわけだから。
だから、みんなでみんなの目を覚ますんだ」
ジャック・ホワイト大使より。
ちなみに、以前紹介した通り、去年のアナログ売り上げ1位はジャック・ホワイトの『ブランダーバス』でした。
アメリカではこの5年間アナログ盤が売り上げを上げ続けていて、2012年の売り上げ合計は460万枚でした。これは、ニールセンが1991年に記録を取り始めてから過去最高の記録だということ。
そのうち67%はレコード屋さんで買われているそうで、売り上げは2011年に比べると19%もアップ。とは言え、アルバム全体の売り上げからみると1.4%しか満たない数字です。
2012年の売り上げベスト10
1. Jack White "Blunderbuss" 34,000枚
2. The Beatles "Abbey Road" 30,000
3. Mumford & Sons "Babel 29,000
4. Black Keys "El Camino" 25,000
5. Mumford & Sons "Sigh No More" 23,000
6.Beach House "Bloom" 21,000
7. Bon Iver 'For Emma Forever Ago" 19,000
8. Alabama Shakes "Boys & Girls" 17,000
9. Adele "21" 16,000
10. Bon Iver 'Bon Iver" 15,000