東京カランコロン『UTUTU』全曲カウントダウンレビュー その4:ヒールに願いを

東京カランコロン『UTUTU』全曲カウントダウンレビュー その4:ヒールに願いを

東京カランコロン『UTUTU』、1月14日リリース!
発売日まで1日1曲ずつ、全曲をレビューしていきます。
あと10日!


4. ヒールに願いを


アルバムのリード曲としてMVも公開され、日本テレビ系「PON!」1月エンディングテーマとして起用されてもいる“ヒールに願いを”。亀田誠治がプロデュースしたこの曲は、まるで“ストロベリー・フィールズ・フォーエバー”のようなメロトロン風のイントロにエモーショナルなギターの旋律と繊細なベースが乗ってくる。耳をこらせばアレンジこそかなり複雑だけど、メロディラインも、切ない片想いを歌った歌詞も、せんせいの歌いまわしも、すべてが変化球なしのバラード。寒い冬に染みる。染みるだけではなくて、じつはこの曲が『UTUTU』というアルバムのある種の「ゴール」なのではないかと思う。

前作『5人のエンターテイナー』にもせんせいが歌う“指でキスしよう”という名曲があって、それはせんせいが歌詞を書いていたのだが、この“ヒールに願いを”はいちろー作詞。でもすごくせんせいのキャラクターにも合った曲になっていて、それがポイントだと思っている。

『UTUTU』というアルバムは(というかカランコロンの作品すべてがそうなんだけど)非常に振れ幅が広くて、特にいちろーとせんせい、ふたりそれぞれが自分らしい歌詞を書くことでこれまでになく自由でのびやかな空気が生まれているのだが、その両極が一気にぐっと近づいて、ひとつに集約されていくような感覚がこの曲にはある。いちろーらしさ、せんせいらしさ、カランコロンらしさが、ぎゅっとひとつになっている。遊びまくってる曲やロックに振り切っている曲やマニアックなネタが仕込まれた曲や、とにかくヴァラエティありまくりなアルバムの帰結点ともいえる曲が、こういう「普通に」感動的なバラードになる、という事実は、東京カランコロンの何たるかを物語っているように思う。

一途でピュアな恋を歌う歌詞は“ラブ・ミー・テンダー”に通じるものもあるけど、それを具体的に、まさに『UTUTU』のリアリティをもって描いていて、しかも前を向こうという意思がある。

COUNTDOWN JAPANのGALAXY STAGEでも披露してくれたけど、すごく大きなスケールで鳴り響いていて、感動的だった。


明日は5曲目”ビバ・ラ・ジャパニーズ”について書きます。
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