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    SEBASTIAN Xが活動休止を発表した

    SEBASTIAN Xが活動休止を発表した

    SEBASTIAN Xが3月11日リリースのミニアルバム『こころ』とそのツアーをもって活動を休止すると発表した。4月30日の赤坂BLITZが最後のライヴとなる。

    オフィシャルサイト(http://sebastianx.info/)に掲載されているメンバーからのメッセージは以下のとおり。

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    SEBASTIAN Xを応援してくださる皆様へ

    我々SEBASTIAN Xは、「こころ」リリースツアーの赤坂ブリッツワンマン公演を
    もちまして、活動を休止いたします。
    突然このような形での発表になってしまい申し訳ありません。

    活動休止という決断はメンバー全員で話し合った結果です。
    現時点で、活動再開の予定はありません。
    「解散」という言葉も話し合いの中で出ましたが、現状でメンバーの意見が一致したのは、活動を止めるというところまででした。
    休止にいたるまでのそれぞれの理由や意思はひとつにまとめられるものではありませんでしたが、バンドの活動やメンバーそれぞれの意思に対して、自分達で簡潔な説明ができない、ということ自体がこのような結果になってしまった理由のひとつではあると思います。
    応援してくださっている皆様に対して十分な説明とは言い難いかもしれません
    が、これが四人で言える精一杯の正直な気持ちです。

    既にリリースが決定していた「こころ」についても再度メンバーで話し合いましたが、納得のいく作品ができたのでそれをリリースして皆様に聴いていただきたいという気持ちや、リリースツアーまでのライブをやり遂げたいという気持ちは変わりませんでした。
    応援してくださっている皆様をガッカリさせてしまうような発表をしておきながら、リリースからライブまでお付き合いくださいというのはとてもおこがましいことだとは思いますが、残りの活動はメンバー全員、全力で良いものにしようと思っておりますので、ぜひ、聴いたり、観たり、していただけたらうれしいです。

    これまで約7年間にわたり絶えず活動を続けてこられたのは、
    応援してくださるお客様、スタッフ、関係者の皆様のおかげです。
    本当にありがとうございます。
    メンバー一同、活動休止までSEBASTIAN Xの音楽と誠心誠意向き合って行きたい
    と思っております。

    よろしくお願いいたします。

    SEBASTIAN X
    永原真夏
    飯田裕
    沖山良太
    工藤歩里
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    バンドが活動を休止するという事実を知らされたときに何を感じるかというと、僕の場合、もちろん驚いたり悲しくなったりするのと同時に、なんとなく腑に落ちるような感覚を覚えることが多い。

    職業柄アーティストの動向には気を配っているつもりだし、ライヴに何度も足を運んだり、インタヴューやフェスの現場で向き合ったりしているうちに、本当になんとなくだが、バンドが醸し出す空気の変化に気づいたりもする。そういうささいな空気の変化が積み重なって、活動休止や解散という結果に至った時点で、改めて振り返ってみると、ああ、そういうことだったのかな、と思ったりもする。

    でも、このセバスチャンの発表については、「なんでだよ」という気持ちしか湧いてこない。

    上のメッセージにある「現時点で、活動再開の予定はありません」「『解散』という言葉も話し合いの中で出ました」という言葉の重さに打ちひしがれて思考が停止してしまう。どんなに考えて、頭の中の記憶を引っかき回しても、このバンドが今、活動を止めることに説明がつかない。なんでだよ。

    「バンドの活動やメンバーそれぞれの意思に対して、自分達で簡潔な説明ができない、ということ自体がこのような結果になってしまった理由のひとつ」とメンバーはコメントしている。でも僕はまさにその「簡潔な説明ができない」かたちこそがSEBASTIAN
    Xだと思っていて、それを「生きる歓び」とか「生命力」とか「イェーイ」とかいろいろな言葉で書いてきたつもりだ。

    いろいろな感情がこんがらがっている生きものとしての人間と、
    その人間が奏でる音楽を、絶対的に愛するパワー。それがSEBASTIAN Xだ。
    そのこんがらがったものが崖っぷちでジタバタしている、
    そこで生まれるエネルギーとポップさが、SEBASTIAN Xの音楽だ。
    そんな音楽が第一線で闘い続けていることに救われていたのは、僕だけじゃないはずだ。

    でも、彼らの中では何かが静かに変わり続けていたのだろう。今までのまんまの彼らでは、全力疾走ができなくなったのだろう。だから彼らは自ら「活動休止」という選択をした。そう書いてはみたものの、「なんでだよ」という気分は消えることがない。

    不器用で、いびつで、だからこそタフで愛おしい。そんなセバスチャンを、その「なんでだよ」という気持ちを抱えたまま、僕は4月30日までしっかり愛そうと思う。
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