【全アルバムレビュー:エレファントカシマシ】16th『風』

『風』2004年9月29日発売

過渡期の一枚、なのか?

前作からわずか半年のインターバルでリリースされた、主に宮本と久保田光太郎のプロデュースによるアルバムなのだが、曲名を見ると、今もライブでやる曲が少なめかもしれない。“友達がいるのさ”あたりは披露されることが多いが。1枚前の『扉』には“化ケモノ青年”や“パワー・イン・ザ・ワールド”が入っているし、楽曲単体で比較すると、たとえばこれの次作の『町を見下ろす丘』には“地元のダンナ”や“なぜだか、俺は祈ってゐた。”が入っていて、リリース当時に「お、今度のはいい!」と思った記憶がある。その次の『STARTING OVER』は1曲目の“今はここが真ん中さ!”からラストの“FLYER”までいい曲だらけで、さらに嬉しかった記憶もある。となると、この『風』は、うーん、次の方向性を模索していた時期だったのかもしれない。でも“平成理想主義”“人間って何だ”などは今聴いても素晴らしいし、シングルカップリングだった“DJ in my life”には《ああ でっかく死にたいもんだ》という必殺の一行があります。(兵庫慎司)

収録曲:
1.平成理想主義
2.達者であれよ
3.友達がいるのさ
4.人間って何だ
5.夜と朝のあいだに...
6.DJ in my life
7.定め
8.勝利を目指すもの
9.今だ!テイク・ア・チャンス
10.風

※『ROCKIN'ON JAPAN』2016年1月号より転載

過去のレビューはエレファントカシマシのアーティストページをご確認下さい。
http://ro69.jp/artist/2218

次の更新は2017年3月17日(金)7:00です。(毎日7:00、19:00公開予定)