【全アルバムレビュー:エレファントカシマシ】17th『町を見下ろす丘』

【全アルバムレビュー:エレファントカシマシ】17th『町を見下ろす丘』 - 『町を見下ろす丘』2006年3月29日発売『町を見下ろす丘』2006年3月29日発売

男40、ギリギリの踏ん張り

EMI時代の最終作となったこのアルバムの中で宮本は過ぎゆく時間を眺め、静かに歌っている。アンサンブルもまた繊細に録られていて、齢40に至った男たちの機微、そのすべてを刻むことを一義に据えて真摯に作られたかのような、拳を握らずには聴けない傑作である。人生の各フェーズにおける共感装置としてのエレカシアルバムという意味では全作品がそうだが、この作品のそのパワーは随一である。なぜならば――。

名曲“シグナル”が「男の人生」の「すべて」を歌っているからだ。

《どの道俺は道半ばに命燃やし尽くす》《今宵の月が満ち欠ける、町見下ろす丘に。「どの道キミは、ひとりの男、心の花 咲かせる、人であれよ」と。》という、諦めと受け入れを飲み込んだうえで「さて明日もやってやるか……」と静かに心にエンジンをかける瞬間。そのギリギリの踏ん張りをそのまま歌う歌。アルバム全編を淡く包み込むオルガンの響き。個人的にはトム・ウェイツを聴くように聴いてきた人生のアルバムであります。(小栁大輔)

収録曲:
1.地元のダンナ
2.理想の朝
3.甘き絶望
4.すまねえ魂
5.シグナル
6.今をかきならせ
7.人生の午後に
8.雨の日に・・・
9.流れ星のやうな人生
10.I don't know たゆまずに
11.なぜだか、俺は祈ってゐた。

※『ROCKIN'ON JAPAN』2016年1月号より転載

過去のレビューはエレファントカシマシのアーティストページをご確認下さい。
http://ro69.jp/artist/2218

次の更新は2017年3月17日(金)19:00です。(毎日7:00、19:00公開予定)
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