リリース時は既にステレオで発売されていた作品だけに、モノ音源が気になってまずはここから聴いてみてが、音がごろっとした塊で迫ってくる迫力と、ひとつひとつの楽器の細やかな臨場感が新鮮。
ファンはもちろん必聴だが、逆にCD世代にとってかなり刺激的なサウンドだと思う。
といわけで、デッカ時代(1964年のデビューから1969年まで)の楽曲のモノラル音源を15枚のアルバムに詰め込んだ『MONO BOX』が今日、世界同時発売された。
もちろん全部が初の「モノCD化」というわけではないが、
今回長い間手に入らなかった「イギリス盤」のオリジナル・アルバムが収録されていたり、
『サタニック・マジェスティーズ』、『ベガーズ・バンケット』、『レット・イット・ブリード』というステレオ時代の作品がモノ音源で聴けたりするのが嬉しい(実はここが聴きどころかも)。
世界でも日本盤だけ7インチでリリースされ、アルバムの質感を堪能できるかなり贅沢な作りだ。
すでにRO69特集でも↓
http://ro69.jp/feat/rollingstones_201609
明日発売のロッキング・オン本誌でも、
60年代(デッカ時代)のストーンズの名曲にスポットを当てた特集を掲載中なので、副読本としてチェックしてみてください。
ちなみに、、同じくモノ音源初CD化となる『アフターマス』も心地よかった。
「初期のピンク・フロイドやアメリカ西海岸のシーンに道を拓いた」と言われる1966年の冒険作であり名盤がどのようにして出来上がったのか? という決定版ドキュメンタリーは、本誌8月号に掲載されている。
キース・リチャーズ「“黒くぬれ!”はもともとコメディ・ナンバーのつもりで録音したんだ」
という発言も貴重だが、
ブライアン・ジョーンズが『サタニック・マジェスティーズ』にしぶしぶ参加した、という通説に対して、
ブライアンの友人で、画家バルテュスの息子であるスタッシュ・クロソウスキー・ド・ローラが、
「全くのでたらめだ。あいつは本当に楽しそうに、『ストーンズはこの先、誰も聴いたことのない領域に入っていくんだ』と、皆に言って回ってたんだ」
と語っているのも興味深い。(井上貴子)