「(フォン・ツェッペリン家の親族が)スタジオを出ようとしたとき、アルバム・ジャケットに目が行っちゃったのさ。飛行船が炎に包まれて爆発する、あれだよ! もう逃げ出して隠れるしかなかったね。彼女の怒りは爆発した。で、今度は“キーキー叫ぶ猿の集団”って攻撃するのさ!」
バンド初の公式ドキュメンタリー映画『Becoming Led Zeppelin』への期待は高まるばかりだ。なにしろ鬼才バーナード・マクマホンが世界中に埋もれていた音源や映像を探索し、同一のライブでも別カメラで撮られた未公開映像を発掘しまくったり、3万本の無表記テープからボンゾの稀少な肉声を掘り当てるなどクリエイターとしての執念が半端ない。わずか1分のティーザーを観ただけでも、斬新なアングルでバンドの本質が抉り出されたことを実感できる。
実際、これまでYouTubeなどに散見された当時の“幻惑されて”や“グッド・タイムズ~”のライブ映像からでも、彼らがいかに途轍もないことを成し遂げていたのか、その片鱗がわかる。それは「ブルースの解体と再構築」などといった定型句を遥かに超えて、黒人が産み落としたブルースというエモーションの坩堝からその核心的DNAを引きずり出し、全人類共通の情念にシンクロさせる化け物じみたグルーヴを錬金し続けたサクラメント(秘跡)なのだ。
ここに紹介するジミー・ペイジのインタビューは、そんな日々の空気感を伝える決定的語録だ。映画公開に備える、またとない「予習教材」となるだろう。 (茂木信介)
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