ザ・ウィークエンド、新作『ドーン・エフエム』はキャリア最高峰というべき仕上がりに! 自身の破綻した性格を受け入れ、その上で他者に語りかけるポップ・ソングの数々が感動的だ

ザ・ウィークエンド、新作『ドーン・エフエム』はキャリア最高峰というべき仕上がりに!  自身の破綻した性格を受け入れ、その上で他者に語りかけるポップ・ソングの数々が感動的だ - rockin'on 2022年3月号 中面rockin'on 2022年3月号 中面

その強烈なビートと、聴き手を否が応でも魅惑する甘美なメロディとサウンドを組み合わせ、どこか捻れてダークかつ独特なポップ音像をこれまで生み出してきたザ・ウィークエンド。新作『ドーン・エフエム』は、そのキャリア最高峰というべき内容になっている。

ザ・ウィークエンドはこの『ドーン・エフエム』を2020年の『アフター・アワーズ』の続編だと公言してきたが、同作が2021年のグラミー賞のどの部門にもノミネートされなかったことを、意図的な排除だと公に批判してきた。彼にそこまでの発言をさせたのは、自身もそう考えるしかないほど作品の内容が充実し、リリース当時にはチャート1位のほか、史上最大の初週セールスを記録した事実などもそれを裏付けるものだった。

『アフター・アワーズ』は、2016年の大ヒット作『スターボーイ』やそれに続いた2018年の『マイ・ディアー・メランコリー、』から連続していた、自身の作風やアイデンティティの不確かさを乗り越えようとしたものだ。

己の内面を見つめ直しながら、自分のそもそもの身上であったダークなサウンドを打ち出しつつ、そこにどうしても聴かずにはいられなくなるような魅力的でキャッチーなメロディやサウンドを施す試みになっていた。『アフター・アワーズ』はその試みを見事に果たし、特にアルバム後半に入ってからの楽曲群でビートやグルーヴが弾けていくところがたまらないダイナミズムを生む、ある意味でザ・ウィークエンドにとっての大復活作だった。

今回の『ドーン・エフエム』は、この後半の展開へさらに拍車がかかって爆発したような内容だと言ってもいい。もともと予定されていた『アフター・アワーズ』のツアーが中止になり、新作の制作に向かったところ恐ろしく暗いものになったというが、それをいったん没にして作り直してみたところ、この内容になったという。

感動的なのは、これまでのように自身の破綻した性格を嘆くのではなく、それを受け入れてその上で他者に語りかけようとするポップ・ソングの数々となっているところだ。間違いなくザ・ウィークエンドを代表する作品となるはずだ。 (高見展)



ザ・ウィークエンドの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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