「たとえ今は未来に対する夢や希望なんて軽々しく思い描ける状況ではないにしても、それでも何かできることはないかって思う瞬間がある。
それこそが音楽を通して世の中に発信したいエネルギーであり、悪夢のような状況でも、諦めずに進み続ける理由を与えてくれる」
アニマル・コレクティヴの最新作『タイム・スキフズ』は、フル・メンバーで制作されたアルバムとしては10年ぶりの作品になる。
この間も様々に編成を変えて密な創作関係を継続してきた彼らだが、4人揃って久々の共同作業はやはり格別だったようだ。そうした湧き上がる充実感のようなものをサウンドからは存分に感じることができる。
もっとも、10年前の前々作『センティピード・ヘルツ』のカオティックなライブ・フィールとも、前作『ペインティング・ウィズ』(2016年)のR&Bやモダン・ポップを意識させたハイファイなリズム・ワークとも異なり、チルでオーガニックな肌触りの音色やテクスチャーが今作の魅力。
どことなく陰りを帯びた美しい内省感は、あの傑作『メリウェザー・ポスト・パビリオン』(2009年)を思い起こさせる場面もあるかもしれない。早くも次作に向けてスタジオ入りしているという4人。ディーキンに話を聞いた。(天井潤之介)
アニマル・コレクティヴの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。