オジー・オズボーンの“ペイシェント・ナンバー9”が去る6月24日に配信開始となり、話題を呼んでいる。
待望の最新曲というだけでも注目に値するが、なにしろこの楽曲でフィーチュアされているのはジェフ・ベック。この7月15日には『18』と銘打たれたジョニー・デップとのコラボ作の発売も控えているベックだが、オジーとの共演も前例のないことであり、しかもこの楽曲がトッド・マクファーレン(アメリカンコミックに少しでも興味のある読者ならば、彼に関する説明は不要だろう)の手によるミュージックビデオとともに公開となった同日が彼自身にとって78歳の誕生日だったというのも興味深い。
この歴史的トラックを表題曲とするオジーの新作アルバムも、9月9日に発売される。パンデミック直前にあたる2020年2月発表の前作『オーディナリー・マン』では、ポスト・マローンやデュア・リパとの仕事でも知られるアンドリュー・ワットをプロデューサーに迎え、そのマローンやトラヴィス・スコット、エルトン・ジョンとの画期的コラボも実現していたが、今回も引き続きワットが起用されており、ベック以外にもエリック・クラプトン、ブラック・サバスでの盟友トニー・アイオミ(オジーのソロ作への参加は史上初)、マイク・マクレディ(パール・ジャム)、ロバート・トゥルヒーヨ(メタリカ)、ダフ・マッケイガン(ガンズ・アンド・ローゼズ)、チャド・スミス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、さらには去る3月に急逝したテイラー・ホーキンスも参加者として名を連ねている。
近年は健康面での問題も深刻化し、再度のコロナ感染なども報じられていたオジー。ただ、「ここ数年は私自身にも様々なことが起きて本当に大変だった。しかし、このアルバムを作ることで心から悩みごとが払拭された」という言葉からは、今作の制作自体が彼にとっての特効薬となったことがうかがえる。
前作では全米・全英双方のアルバムチャートで3位という自己最高記録を打ち立てるのみならず、現代的なレコーディング方法との相性の良さ、また、ヘヴィロックの世界にとどまることのない「闇のポップアイコン」とでもいうべき存在感の稀有さを見せつけてくれた彼。今こそ最大級の活躍を期待したくなるところだ。 (増田勇一)
オジー・オズボーンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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