ジミ・ヘンドリックス、最後期エクスペリエンスでの異次元のパフォーマンスが鮮烈に蘇る!

ジミ・ヘンドリックス、最後期エクスペリエンスでの異次元のパフォーマンスが鮮烈に蘇る! - rockin'on 2022年12月号 中面rockin'on 2022年12月号 中面

またまたジミ・ヘンドリックスの貴重な音源の登場だ。ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの『ライヴ・アット・ザ・LAフォーラム』は、フェス等を別にすれば、ジミも初めからライブ盤を録ることを自覚したパフォーマンスを記録したもので、オリジナル・エクスペリエンスでの最後のアメリカツアー中の69年4月26日に収録された。

2ヶ月後にはノエル・レディングが脱退してしまう微妙な時期ながら演奏の熱は高く、また当時、最大級(約1万2000人規模)の会場を埋め尽くした観客と警備の警官隊との緊迫した状況も収められるなど、<69年の空気>までもが詰め込まれたライブとなっている。

この時期のライブは切羽詰まったメンバーの人間関係を反映して日によってはいま一つのパフォーマンスもあるのだが、この日は完璧。インスト“タックス・フリー”に始まり“フォクシー・レディ”、“レッド・ハウス”と鉄板ナンバーが続き、絶品はウッドストックの演奏が有名な“星条旗”で、反応も大きいが、最大の聴き所は“ヴードゥー・チャイルド(スライト・リターン)”とクリームの“サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ”のメドレーで、身体の奥深くから湧き上がってくるエモーションをストレートにギターに乗っけて迫るところは、永遠のロック美だ。

もともとこれは有名な音源で、中途半端な形ながらこれまでにも出たことはある。というのもそもそもジミ・ヘンドリックスが下積み時代に不用意に交わしてしまったレコーディング契約を解消するためにライブアルバムを提供しようと計画されたもので、当然ながら本人もバンドも録られることは承知していたし、機材を含めレコーディング環境も良いもので行われたのだった。結局、完全な形でリリースされることはなかったわけだが、こうして当時もミックスを担当したエディ・クレイマーによりリミックスされ最高の形で世に出ることとなった。

ジミならではの演奏、そして最初の成功をともにしたエクスペリエンスとの最後期の記念碑的なパフォーマンスが生々しく蘇る。 (大鷹俊一)



ジミ・ヘンドリックスの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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