デヴィッド・ボウイ、『ハンキー・ドリー』という繊細な魔法 ―― 豊富すぎるクリエイティビティに囲まれた12ヶ月を記録するボックス『ディヴァイン・シンメトリー』完全レビュー

rockin'on 2023年1月号 中面

現在発売中のロッキング・オン1月号では、デヴィッド・ボウイのボックス『ディヴァイン・シンメトリー』ロングレビューを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。



文=坂本麻里子

グラムロックというジャンルそのものを体現するアルバムのひとつ『ジギー・スターダスト』(1972年)。前衛アートロックの尽きせぬ影響源『ロウ』(1977年)。マルチメディア時代のポップスター像を提示したミリオンセラー『レッツ・ダンス』(1983年)。数々の名盤を生んだボウイだが、革新/衝撃性、音楽性、そして一般的な知名度も踏まえればこの3枚あたりがいわゆる「代表作」として上位にあがってくると思う。

しかし「心の一枚」として愛される作品と言えば、コンセプト、劇場性、ビジュアルやサウンドの実験といった刺激的なエッジよりも彼のSSWとしての圧倒的な才覚&魅力をストレートに捉え、ショウケースした『ハンキー・ドリー』(1971年)もこれらに匹敵する高い人気を誇るはずだ。

ほぼ50周年に当たるCD4枚+Blu-rayオーディオ1枚の豪華ボックス『ディヴァイン・シンメトリー』は、そんなボウイの原点とも言える名作を多角的に検証/鑑識していく。

『ハンキー・ドリー』本体のメイン音源としては2015年リマスターが丸ごと収録されており、共同プロデューサーのケン・スコットが手がけた最新版オルタナティブミックス(2021年)、シングルや別ミックスといったレア音源、そして新旧の諸バージョンを統合し同作のシークエンスを踏襲した『A Divine Symmetry(An Alternative Journey Through Hunky Dory)』もパッケージされている。それらを俯瞰し聴き較べるのは、ファンやオーディオマニアには楽しいだろう。(以下、本誌記事へ続く)



デヴィッド・ボウイの記事の続きは、現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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