昨今のポップミュージックの潮流を如実に反映し、ついに3日間のヘッドライナー全てが非白人で占められた今年のコーチェラ。1日目のヘッドライナーだったバッド・バニーは「英語かスペイン語、どちらがいい?」と観客に問いかけ、「エスパニョール!」というアンサーを受けると大ヒット曲を次々に展開。映像ではラテン音楽の歴史を紹介しながら、今のポップミュージックを更新し続けている自らのカルチャーのルーツを世界中に発信した。ガソリンスタンドを模した派手なセットに花火が上がり、初日からカーニバルのようなムードに。
2日目、アジア人初のヘッドライナーとして4人の徹底したコンビネーションで魅せたBLACKPINKは、巨大スクリーンを目一杯使った煌びやかな電飾効果を駆使しそのスケール感を誇示。前回はサハラ・ステージだっただけに、アジア人アーティストの躍進が目に見える形で披露され、感慨深さに浸った人も多いに違いない。
3日目のヘッドライナー、フランク・オーシャンは大幅な遅延&突然の終了で現地ファンは騒然。公式には足のケガが原因とのことだが、とにかくステージに立ち歌ったという事実がすでに伝説と化しているのもこのフェスの規模感ならでは。大衆とインフルエンサーを巻き込み年々大きくなり続けるコーチェラは、時にその虚構性で私たちを煙に巻く。
3日間で最大のインパクトを残したのはロザリアだろう。無駄を排除しつつもコンセプチュアルなセット&コレオグラフィーによって披露されるショウで、世界中の視線を釘付けに! ドキュメント性を重視したカメラワークも強烈で、配信を強化するコーチェラ側の意図を汲み取ったライブ感みなぎる舞台だった。
個人的には、進化したVJで会場を熱狂させたケミカル・ブラザーズ、ボーイジーニアスをゲストに迎え多幸感あふれるサウンドを届けたムナ、今年トゥルーゴイが亡くなったデ・ラ・ソウルを客演に呼び共演を見せたゴリラズのステージも素晴らしかった。この巨大化(というか一部肥大化?)するフェス、果たして来年はどうなる? (つやちゃん)
コーチェラ・フェスティバルの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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