「新時代の幕開けを告げる」という表現がこれほど相応しいフェスもないだろう。ブリング・ミー・ザ・ホライズン(以下BMTH)がキュレーションを担当したNEX_FESTは、演者および観客の世代交代という面でも、メタルやハードコアパンクを軸に多方面に広がるクロスオーバーの面でも、実に画期的なイベントだった。
メジャーなアクトとアンダーグラウンドなアクトが並び立ち、ひとつの会場にいるだけで様々な領域のバンドに出くわせる。こうしたことを成し遂げ、集客面でも成功した大規模フェスティバルは稀だろう。ロック全般の歴史をみても記念碑的といえる一日だった。
上記の越境性は、BMTHが近年積極的に繰り返してきた交流の成果でもある。“キングスレイヤー”ではBABYMETAL、“オベイ”ではヤングブラッドがゲスト出演し、ヤングブラッドの“ハピアー”ではBMTHのオリヴァー・サイクスとの共演が実現。また、BMTの“AmEN!”とリル・ウージー・ヴァート“The End”の作編曲を担当したのはPaleduskのギタリストDAIDAIで、今回のサブステージでも素晴らしいパフォーマンスを披露していた。
ここ数年のニューメタルリバイバルも経て発展するメタルコアの系譜(アイ・プリヴェイルはその点でBMTHに並ぶ人気バンド)と、ポップパンクからハイパーポップに至る系譜が絡み合い、ヒップホップなどの要素も取り込んで豊かな広がりを生む。朝一番に登場したAlice Longyu Gaoはそうした音楽領域の網羅として完璧だった。NEX_FESTは、以上のような繋がりを具現化する場でもあったのだ。
こうしたフェスが日本のバンドを中心に開催されたのも良かった。YOASOBI、花冷え。、KRUELTY、マキシマム ザ ホルモン、VMO、CVLTEは各々の分野を代表する超一流で、今回初めて観て感銘を受けた人も多いはず。シーンの持続可能性を高め新たな繋がりを生むという意味でも素晴らしい機会だった。ここから先に広がる未来が本当に楽しみだ。 (和田信一郎)
「NEX_FEST」の記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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