デヴィッド・ギルモア、9年ぶりのソロ新作が描き出すのは、希望と前進のドラマか?!

デヴィッド・ギルモア、9年ぶりのソロ新作が描き出すのは、希望と前進のドラマか?!

「邂逅=めぐりあい」、デヴィッド・ギルモアの9年ぶりとなるソロアルバム『Luck and Strange』は邦題が『邂逅』とされた。とても良いタイトルだ。まさに本作へのギルモアの想いが浮かび上がる。「『狂気』以来、私が作ったものとしては今回のアルバムが最高の作品だと思っている」との彼のメッセージを目にしては耳を傾けないわけにはいかなく、実際そのアルバムからは、不思議なほど前向きなエネルギーが発せられている。

ギルモアによると「ある日曲が湧き出てきたんだ。ものすごく楽しくて、こういうものを思いついたことに胸がものすごく踊った」という。そしてこれまでにも彼の作品に歌詞を書いている、妻で小説家でもあるポリー・サムソンが結婚記念日にプレゼントした詩がピッタリで、これこそセレンディピティ(偶然がもたらす幸運)だとしてアルバム制作が進んだのだという。

池に自然に水が満ちてくるようにギルモアの中にソングライティングへの想いが溜まってもいたのだろう。4月から“ザ・パイパーズ・コール”、“ビトウィーン・トゥー・ポインツ”、“ダーク・アンド・ヴェルヴェット・ナイツ”とシングルが先行リリースされてきたが、いずれもこの人ならではのジェントルかつ瑞々しいメロディーラインと、そこにかぶるギターサウンドはまさにピンク・フロイド以来のファン誰もが求める世界だ。プロデュースにはアルト・ジェイとの仕事で知られるチャーリー・アンドリューを起用し、ブライトンとロンドンで約5ヶ月をかけて、スティーヴ・ガッド(Dr)やロジャー・イーノ(Key)等が参加して制作された。

話題は、タイトル曲に08年に亡くなったピンク・フロイドの仲間リチャード・ライト(Key)の演奏も入れられていることで、元となった14分にも及ぶジャムセッションバージョンも入っているのが嬉しい。またギルモアの娘ロマーニはアンビエンスな音で知られるモンゴルフィエ・ブラザーズのカバーとなる“ビトウィーン・トゥー・ポインツ”でボーカルをとっているが、これも味わい深く、良い具合にファミリー感とギルモアならではの音楽性が混ざり合い、今の彼が自信作とするのも納得だ。本作を持ってのツアーにも意欲的だというギルモア、待ってます!(大鷹俊一)



デヴィッド・ギルモアの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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