フォンテインズD.C.を豊洲PITで目撃!


アイルランドの英雄:フォンテインズD.C.が日本凱旋! 昨日2月23日に、キャパ3000人超えの豊洲PITでソールドアウトした東京公演を観に行ってきた。

昨年、最新アルバム『Romance』をリリースし、新世代を代表するロックバンドへと飛躍を遂げたフォンテインズD.C.。フジロック・フェスティバル 2024のパフォーマンスも記憶に新しい彼らだが、今回のライブでは、これまでに発表した4枚のアルバムを網羅する、1時間半にわたる壮大なセットリストを展開。これまでのキャリアと最新モードが激しく交錯し、圧倒的な熱狂が生まれた一夜となった。

ライブは最新作『Romance』のオープニングナンバー、“Romance”で幕を開けた。不穏で妖しげな旋律が広がりつつも、どこか華やかな印象をもたらす不思議な一曲。バンドの最新モードであるサイバーパンク的な雰囲気を最も象徴する楽曲でもあり、今夜の幕開けにふさわしい選曲に感じられた。

続く2曲目から立て続けに披露された“Jackie Down The Line”と“Televised Mind”は、一転して生々しいエネルギーに満ちたポストパンクナンバー。グリアン・チャッテン(Vo)の野性的で力強いパフォーマンスに呼応するように、会場の熱気は一気に高まり、冒頭から観客による大合唱が巻き起こる異様な盛り上がりを見せていた。

しかし、フォンテインズD.C.の魅力はエネルギッシュなポストパンクだけにとどまらない。その最たる例が、中盤に披露された“Sundowner”だ。フロントマンのグリアンに代わり、コナー・カーリー(G)がメインボーカルを務める本楽曲は、ソフトなクリーンボイスとアコースティックサウンドが溶け合う、センチメンタルでエモーショナルな一曲。さらに、それに続いた新曲“It's Amazing To Be Young”では、爽快なメロディセンスが炸裂。熱狂の渦に包まれていた会場に心地よい清涼感をもたらし、後半戦への絶妙なブリッジとなった。

そんな多彩なサウンドに彩られた昨晩のハイライトは、アンコール前の終盤を飾った2曲だった。アグレッシブでミニマルな初期の衝動が詰まった“Boys In A Better Land”、そしてバンドがこれまでに書いた中で一番のお気に入りである“Favourite”。デビュー作と最新作の代表曲が立て続けに演奏されたフィナーレで、会場の熱気は最高潮に達し、昨晩一番の歓声と大合唱が響き渡った。

クリエイションを名実ともに格段に進化させながらも、ライブバンドとしてのエネルギーは揺るがない。そんなモンスターバンドが、さらなる進化を遂げて日本の地に再び降り立つ日が、今から待ちきれないです!(北川裕也)
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